理学部物理学科

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2014年度物理学科コロキウム(2014年4月16日)

日時

2014年4月16日(水) 16:00 - 17:00

場所

理学部5号館 2階 5208

講師

大槻 東巳 氏(上智大学 機能創造理工学科)

開催内容

乱れた3次元トポロジカル絶縁体における状態密度スケーリング

 トポロジカル絶縁体は,ブリルアンゾーンにわたる波動関数の積分・ナ定義される。この積分値が非自明な値をもつ場合,系の端・表面に線形なエネルギー分散をもつ状態が現れる。一方,この定義は不純物(ランダムネス)がある場合には適用できない。しかしながら,ランダムネスがある系でも,表面状態は安定して存在し[1],これを調べることでトポロジカル絶縁体がどの程度不純物に対して安定かを議論できる[2]。3次元のトポロジカル絶縁体では,ランダムネスの効果がirrelevantになり,そのため,異なるトポロジーをもつ相の境界はDirac半金属状態になる。この半金属状態はランダムネスがある程度まで弱ければ安定であるが,ランダムネスが臨界的な値を超えると金属状態へと相転移し,転移点は3重臨界点となる[2](図参照)。本研究では,ランダムな3次元トポロジカル絶縁体における状態密度をkernel polynomial 法による大規模数値計算により決定した。様々なパラメータに対して,状態密度は1変数スケーリングを示した[3]。これにより,Dirac半金属-金属転移における臨界指数νと動的臨界指数zを決定した。
[1] K.-I. Imura et al.: Physical Review B 86, 245436 (2012)
[2] K. Kobayashi, T. Ohtsuki, K.-I. Imura: PRL 110, 236803 (2013)
[3] K. Kobayashi, T. Ohtsuki, K.-I. Imura, I. Herbut: PRL 112, 016402 (2014)
図:ランダムネスのある場合の3次元トポロジカル絶縁体の相図。横軸がバルクのエネルギーギャップを特徴づけるパラメータで,縦軸はランダムネスの強さを表す。Mは金属相,TIはトポロジカル絶縁相を意味する。異なるトポロジカル絶縁相の相境界でDirac半金属(DSM)が実現する。

他学部、他学科の教員、学生のみなさんの聴講も大歓迎です。

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