2015年度物理学科コロキウム(2015年6月10日)
日時
2015年6月10日(水)16:30 - 17:30
場所
理学部5号館 1階 5105
講師
鹿野田 一司 氏 (東京大学 工学部 物理工学科)
開催内容
分子性物質の中でひしめき合う電子たちの三角関係
κ-(ET)2Xと呼ばれる一連の擬2次元分子性物質は、異方的な三角格子を持ち、電子間クーロン相互作用がバンド幅と同程度であることから、スピン自由度におけるフラストレーションと電荷自由度におけるモット転移の掛け算的な物理学を追及できる格好の舞台となっている。コロキウムでは、まず、バンド充填が1/2の場合、電子相関が強いモット絶縁体において、三角格子が異方的な場合は反強磁性体となるのに対し等方的になると量子スピン液体になることを示す。また、前者であっても、乱れを導入することで反強磁性体がスピン液体に変わることも最近の研究で分かった。また、加圧によって起こるMott転移が量子臨界性を示すことにも触れる。次いで、三角格子モット絶縁体にホールドープされたと見なせる系を取り上げる。加圧によって電子相関を弱めることで、サイト2重占有が禁止された強相関金属からそれが許された弱相関金属へ量子相転移あるいは鋭くクロスオーバーすることを示し、これを、金属から金属への“Mott転移”という観点で議論する。強相関領域では、系がドープされたスピン液体のように振舞うことや、低温で発現する超伝導が圧力によってBEC-BCSクロスオーバーすることを示唆する結果についても紹介する。
他学部、他学科の教員、学生のみなさんの聴講も大歓迎です。
お問い合わせ先は物理学科コロキウム係:大江純一郎 junichirou.ohe(atmark)sci.toho-u.ac.jp (atmark)は@です。
他学部、他学科の教員、学生のみなさんの聴講も大歓迎です。
お問い合わせ先は物理学科コロキウム係:大江純一郎 junichirou.ohe(atmark)sci.toho-u.ac.jp (atmark)は@です。