理学部生物分子科学科

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大腸菌 (Escherichia coli)

 腸内細菌の一種。好気条件でも嫌気条件でも生育できる。短径0.7 µm、長径2~4 µmの短い棒状の単細胞生物であり細胞分裂により増殖する。有性生殖、すなわち、雄の菌と雌の菌の細胞同士が接合し、雄菌から雌菌に遺伝子が移行し組換えが起きることが1940年代のはじめに発見され、それ以来この菌は遺伝学の研究対象とされるようになった。その後、DNAの複製、RNA合成、タンパク質合成など分子生物学の主要な知見は主として大腸菌を用いた研究により得られた。また、生体物質の分解経路や合成経路などの生化学の知見も大腸菌を用いた研究で得られたものが多い。さらに、大腸菌は組換えDNAの宿主としても有用であり、遺伝子操作実験には欠かせない生物である。分子量に換算して30億に相当する巨大な環状二本鎖DNAを持ち、このDNAのことを染色体DNAという。1997年染色体DNAの全長460万塩基対の配列がすべて解読され、この中に4288個のタンパク質をコードする遺伝子があることが明らかになった。

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