はじめに
金属というとどんな金属を思い浮かべますか?鉄や銅,アルミニウムなどを思い浮かべる人も多いでしょうが,金!という人も多いでしょう。この金が他の金属と違うのは何と言っても光沢のある黄金色の独特の色でしょう。今回は金が示すこの色の原因について少しお話しましょう。
図1は金と銀の反射スペクトルです。短波長の紫外領域から可視領域を経て長波長の赤外領域までの光をあてたとき,波長によってどのくらい反射されるかを表しています。銀はおよそ340 nmより長い波長の光をよく反射します。人の目は個人差がありますが,だいたい380 nmから750 nm付近の光を感知することができますから,銀は人の目に見える光はほとんどの波長を反射することになり,白く光って見えます(黒ずんで見えるのは銀の表面が硫黄系の化合物と反応しているからです)。これに対して金は紫外領域から500 nm付近までの可視光を吸収します。人の目に見える光の領域では,紫から青色の光を吸収し赤と黄色の光を反射するので,黄金色に光って見えるのです。
図1は金と銀の反射スペクトルです。短波長の紫外領域から可視領域を経て長波長の赤外領域までの光をあてたとき,波長によってどのくらい反射されるかを表しています。銀はおよそ340 nmより長い波長の光をよく反射します。人の目は個人差がありますが,だいたい380 nmから750 nm付近の光を感知することができますから,銀は人の目に見える光はほとんどの波長を反射することになり,白く光って見えます(黒ずんで見えるのは銀の表面が硫黄系の化合物と反応しているからです)。これに対して金は紫外領域から500 nm付近までの可視光を吸収します。人の目に見える光の領域では,紫から青色の光を吸収し赤と黄色の光を反射するので,黄金色に光って見えるのです。

図1 金と銀の反射スペクトル
それではどうして,銀は可視光を反射するのに,金は可視光の一部を吸収するのでしょうか。これには金の“異常性”,もっと広くいえば第6周期以降の元素の特別な事情を知る必要があります。順を追って説明しましょう。
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第6回「金の色」
- 原子の構造
- 相対論効果
- 金の色と相対論効果
- 金の性質と相対論効果
- おわりに