理学部生命圏環境科学科

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寄生虫を求めてブータン王国へ

講師の脇 司です。
2019年の夏に、南アジアに位置するブータンまで主に寄生虫を探しに行ってきました。今回は、滞在の様子をレポートとして配信したいと思います。
 ブータンはヒマラヤ山脈東側にある国で、国土の標高は全体的に高めです。この国の玄関口はパロ空港(下図)ですが、既にここで標高2,000 mを超えています。この空港は、山々に囲まれているため「世界一着陸が難しい空港」と呼ばれることもあります。
 下4枚の写真は、ブータンの町と郊外の様子です。ブータン国内の移動は専ら自動車です。市街地では道路がアスファルトで整備されていますが、郊外では、山の一部が切り崩されただけの土の道路が多いです。一寸横は崖なのにガードレールがない、といった場所も珍しくありません。また、放牧された牛や野犬が平然と道路を歩いています。こういった悪路を動物の間を縫って運転するにはかなりのドライビングテクニックが必要です。私にはとても無理だと思います。今回は現地のドライバーに運転をお願いしました。寄生虫を求めて、どんどん進みました。
 下の2枚は調査フィールドの写真です。いずれも標高3,000 m近くの場所です。こういった場所では、心拍数を上げる行為をできるだけ控えなければなりません。しかし、ダニを見つけたときには共同研究者の先生と興奮せざるを得ず、すぐに息が切れて動けなくなり、ふらふらになってカメラを落として割ってしまいました。また、ナメクジやカタツムリを夢中で追いかけていたら、いつの間にか高山病になりかけてしまいました。後で知ったことですが、飴を舐めるなどして糖分を摂ると高山病にかかりにくいそうです。
 下の写真は、ブータン南部の橋で見つけたプレートです。日本が、ここの橋の設計・設置に大きく関わったようですね。
 下図はシロハラサギArdea insignisの保全を訴える看板です。本種は、密漁と生息地の破壊によって大きくその個体数を減らしており、現在はIUCNレッドリストに掲載されています。ブータンでの生息数は今や30羽にも届きません。私はこの鳥の寄生虫が気になっています。もし将来的にこの鳥が地上から絶滅してしまうならば、この鳥の寄生虫も同時に消えてしまうことでしょう。そして、その寄生虫がいた痕跡を人間が知ることは永遠にほぼ不可能になるのです。
 下の写真の中央にある丸い葉っぱの植物は、外来種のウチワサボテンです。この仲間はアメリカ原産で、IUCNの「世界の侵略的外来種ワースト100」にも掲載されています。ここにも外来生物の波が押し寄せているようです。
 食事ではダルと呼ばれるスープ(下左写真)がほぼ毎回出てきます。味には辛いものから酸っぱいもの、甘いものまで様々なバリエーションがありました。右の飲み物はバター茶です。日本ではあまりなじみがありませんが、塩味の聞いた濃厚なミルクティーのような味で、なかなか美味でした。
 こういった調査を続けて、ブータン王国の寄生虫を含めた生物相が少しずつ明らかになっていきます。研究成果は随時公表していきますので、今後の研究発表にご期待ください。

参考リンク
ブータン王国で3年間性別がわからなかった国民的オグロヅル個体 「カルマ」 の性別を日本チームが染色体マーカーで明らかに
https://www.afpbb.com/articles/-/3245287

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