理学部生命圏環境科学科

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印旛沼にツボカビ出現!?

鏡味 麻衣子 (講師 / 環境生態学コース)
ツボカビ!と、タイトルから怖い病原菌が出現したように思われた方もいたかもしれません。今回は、そうではない、という事を皆さんにお伝えしようと思います。

ツボカビ ? カエルツボカビ

 世間は今、豚インフルエンザで大騒動。2005年の鳥インフルエンザの時の騒動を思い出します。感染症の流行が自然界のカエルでも見られました。「カエルツボカビ」は1990年代に世界各地のカエルの大量死を引き起こした病原菌として、危険視されています。カエルツボカビの被害が突然拡大した原因には様々な説があり、環境破壊や気候変動などが言われていますが、未だ明らかではありません。

 この「カエルツボカビ」のおかげで「ツボカビ」の名前は世間に知れ渡りましたが、「カエルツボカビ」のせいで「ツボカビ=悪者」と誤解されてしまったのも事実です。ツボカビはツボカビ門という大きな分類群を形成する菌類であり、現在914種、知られています。カエルツボカビはその中の1種にすぎないのです。プランクトンやクマムシなどに寄生する種類も知られています(写真1)。有機物を分解する種類も知られており、土壌中で重要な役割を担っていると考えられています。(詳細は「ミジンコはツボカビがお好き?」を参照してください。)
ホシガタケイソウに寄生するツボカビ

卒業研究生の大活躍

鏡味研究室では千葉県の湖沼でのツボカビ探索に乗り出したのですが、最初に行った印旛沼であっけなくツボカビに巡り会えました。印旛沼では珪藻や緑藻に寄生する種類に加え、分解性のものも数種みつかりました。世界各地でツボカビが確認されていることから、多くの湖沼でツボカビが常態的に存在しているのかもしれません。ツボカビは顕微鏡で見つける事はできますが、慣れてないと見逃す、あるいは鞭毛間違えてしまいます。今回の印旛沼の調査では、顕微鏡とDNAを検出する方法を用いて4−6種ほど確認できました。特に、春から夏にかけて大量発生する珪藻に寄生しているツボカビは、印旛沼の水質に大きな影響を与えている可能性があります。この成果は、昨年度の卒業研究生、天野陽介くんが頑張って出したもので、日本生態学会でポスター発表をしたところ、ポスター賞を受賞することができました。それを受けて船橋よみうりの記事にもなりました。
船橋よみうり(2009.4.4)

印旛沼は汚い?

印旛沼は千葉県の最大の湖沼です。千葉県の湖沼というと、日本で最も汚いと言われた手賀沼が有名かもしれません。毎年、環境省がCOD(化学的酸素要求量)という有機物の量の指標をもとに、全国湖沼の水質ワーストランクを発表しています。手賀沼は26年連続王者でした。2000年以降、佐鳴湖(静岡県)にトップが置き換わったのもつかのま、2007年度は千葉県の印旛沼がワースト1となってしまいました。

 CODワーストワン=汚い、とは必ずしも言えません。CODが高い、ということは、湖の中の生物量(有機物量)が多いという事を意味しています。流域からの栄養塩(リンや窒素など)の流入が多く、湖内の植物プランクトンが盛んに増殖した結果、CODが高くなった、という事です。汚いというイメージを持つのは、水が濁ってみえる、臭い、といった感覚からです。印旛沼がCODワーストワンになった原因はまだ明らかではないですが、おそらく流域からの栄養塩(リンや窒素など)の流入が多く、湖内の植物プランクトンが盛んに増殖した結果と考えられています。実際、印旛沼の流域人口は琵琶湖、霞ヶ浦に次いで全国3位です。大増殖している植物プランクトンにツボカビが寄生していると、水質にはどのような影響があるのか?現在、新しい卒業研究生と大学院生達とチーム印旛沼を結成し、日本一汚い印旛沼に浸かってます。どんな発見がでるかは、乞うご期待です。
チーム印旛沼

天野さんのポスター賞受賞が紹介された船橋よみうりの記事

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