カリキュラム・ポリシー
東邦大学医学部は、成熟社会の健康医療を推進できる人間的な温かさと高い実践能力を持った『より良き臨床医』の育成を目指しています。2016年度から導入される新しいカリキュラムでは、臨床実習を4年次から行い、実習内容を量・質ともに充実させ、医師としての基礎力の向上を図ります。また増大する医学的知識に対応するためには、能動学習を生涯にわたり継続する姿勢が必須です。そこで新しいカリキュラムでは授業時間を1コマ60分に短縮するとともに、統合型の講義・実習を取り入れて全授業時間を縮小します。代わりに自学自習時間を大幅に増やすことで、学生の自己研鑽能力を高め生涯学習の姿勢を養います。この新しいカリキュラムは医学教育の国際基準にも対応しています。
医学的知識と実践能力
一貫した理解を促すために医学準備科目と基礎医学を統合型とし、さらに、PBLテュートリアルを組み込んだハイブリッド型のカリキュラムを提供することにより、効率的かつ能動的に学習するとともに、省察力の育成を目指します。1年次から2年次前半では「生体の構造」「生体の機能」「生体物質の科学」「医用理工学」の4系統に分類し、正常人体の構造・機能を総合的に学びます。2年次では「病態の科学」として、疾病時の人体の構造・機能の変化を学びます。臨床医学では、3年次までに臨床医学の基礎を臓器別に学ぶとともに、社会医学の基本を学び、3年次末に全国統一試験である共用試験を受験します。合格後、4年次では全診療科で実施する基本臨床実習で実臨床を学びつつ、医療の実践に必要な横断的な臨床知識と臨床推論能力を修得します。5年次から6年次にかけて、付属病院はもとより国内外の医療施設で診療参加型臨床実習を行い、医師としての実践能力を高めます。6年次後半には、統合型臨床医学演習を行い知識の統合化を図ります。
患者対応能力
全人的医療人教育科目を1年次から6年次まで配置し、医学の学びに合わせて、医療人として必要な態度や責任感、倫理観、コミュニケーション能力を醸成します。早期より医療現場において体験実習を行うことにより、医学生としての自覚を促します。4年次から6年次では臨床実習を通じて、医師としてあるべき姿を学びます。人文・社会学系科目、選択科目で、幅広い教養と豊かな人間性を涵養します。
科学的探究心
1年次から3年次に約20%のフレキシブルタイムを設けることで、自学自習の姿勢を育み、医学の進歩に対応するための能動学習の重要性について自覚を促します。1年次から6年次までの間、基礎および臨床医学研究室への自由なアクセスを可能にし、卒業までに学術論文を書き上げることで科学的思考体系を身につけます。早期から医学研究への関心を高めるとともに、臨床実習においても問題意識を持って学び、実践する重要性を理解し、生涯にわたる科学的探究心を醸成します。
社会・地域への貢献
1年次の全人的医療人教育実習では地域の介護施設実習を、5年次には地域の診療所および中核医療施設での臨床実習を行い、地域医療について実践を通じて学びます。3年次の社会医学科目において、日本や世界の医療・社会保障制度と、様々なライフステージにおける保健の役割について学びます。多職種連携教育に関する科目では、地域・社会においてチーム医療の果たす役割について他学部の学生と共に学びます。
国際性
1年次から4年次まで英語を必修とし、4年次末に英語による医療面接試験を行います。また選択科目には、英語以外の外国語科目を導入しています。自分と文化的背景の異なる他者を理解する視点を、全人的医療人教育、選択科目、人文・社会学系科目によって養います。休暇期間中には短期外国語科目研修プログラム、6年次には国外医療施設での選択制臨床実習を設定し、すべての学生に履修を推奨しています。また、国外から積極的に受け入れている臨床実習学生と共に学ぶことで、国際的視野を養います。