記念日を決める
2024年04月30日人に誕生日があるように、学校にも誕生のお祝いの日があります。
そう、創立記念日ですね。
ところでよく考えれば不思議な話、学校は生き物ではありません。一体何をもって「誕生」とみなすのでしょうか?
東邦大学の歴史は1925年の帝国女子医学専門学校開校にさかのぼります。
『東邦大学50年史』の年表では、1925年の3月10日に設立の認可を得、同年4月18日に入学式を行い、翌19日に授業を開始したとされています。
この三つの日付の内のどれかが「誕生」の日ということになりそうに思えるのですが、実はかつてはこのいずれとも異なる日に学校創立のお祝いを行っていました。
開校初年、1925年のお祝いは附属病院の開院に合わせたのか12月6日に行われているのですが、その後、「明治節」と呼ばれていた11月3日の祝日に合わせて創立記念の行事などを行うようになっていったようです。
ひるがえって現代。東邦大学の創立記念日は6月10日となっています。
それでは何か画期的な出来事がこの日付の日に起こったのかというと、どうもそういう訳でもなさそうで。
『東邦大学50年史』によりますと、現在の創立記念日は1972年の第4回大学協議会で決定したのだそうです。専門学校が設立認可されたのは1925年3月10日だが、3月は学年末、続く4、5月も学年冒頭にあたり記念行事をするには忙しい。そのため3か月後の6月10日をもって創立記念日としたとのこと。
1990年代に学長を務められた杉村隆先生は、広報誌に連載していたエッセイの中で、この決定理由を「自由闊達で好ましい」と評しておられます。
もっとも現在、6月10日の創立記念日は特別な行事等は開催せず、休校日となっています。
ゴールデンウィークが終わって夏休みはまだ遠く、お天気もぐずつきがちで何かと物憂いこの時期に、一日のお休みがあるとほっと一息つけるような気がいたしますね。
写真は1932年の創立記念行事延期のお知らせです。この頃は10月下旬に行事が行われていたようですね。
《史料・参考文献》
『学友会雑誌』第8号、帝国女子医学専門学校々友会、1930年2月、p73
『校報』第6号、帝国女子医学薬学専門学校、1933年11月、p4~7
『校報』第12号、帝国女子医学薬学専門学校、1934年10月、p3
『高峯』第6巻第12号、帝国女子医学薬学専門学校、1938年12月、p2・3
見学玄編『東邦大学50年史』東邦大学創立50周年記念事業委員会、1978年3月、p201、および巻末「年表」、p588・590。
杉村隆「学長室の窓から(49)」『TOHO University NOW』No.302、1999年7月15日、p14。
投稿者:スタッフ
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