幾瀬マサと花粉形態学

ニュースのお天気コーナーで連日のように花粉情報が出てくる季節になりました。目が痒くて仕方ありません。
さて、花粉といえば昨年度開催した企画展「幾瀬マサと東邦大学-山野を歩き、生きた花を集め」を思い出します。

帝国女子医学薬学専門学校の薬学科を1935年に卒業した幾瀬先生は、日本における花粉形態学の礎を築いた第一人者であり、また戦前から長きにわたって教職員として本学に尽力した人物の一人でもあります。

幾瀬先生が花粉研究と出会ったのは1950年頃。GHQによる花粉調査に協力したことがきっかけでした。この調査が行われたのは、戦後間もなく横浜駐留の米軍関係者にぜんそくの症状が多く見られ、その原因の一つとして花粉が疑われていたためでした。

いまや「花粉症」というワードは日々の生活のなかで当然のように使われていますが、その当時の日本において花粉がアレルギーを引き起こす原因になることは一般的には知られていませんでした。(調査の結果、原因は近隣工場から出たガスによる大気汚染であることが判明したそうです。)

この調査の後も幾瀬先生は全国各地で花粉を採集し、日本原産植物の花粉粒約2,300種の形態について調査しました。1956年にはその集大成として『日本植物の花粉』を刊行しています。

幾瀬先生について詳しく知りたいという方は、2019年度企画展の紹介ページに写真とともに詳細を掲載していますので、ぜひ以下のURLよりご覧ください。

投稿者:スタッフ

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