麻布の額田病院—増田清の建築
2021年02月20日
つい先日、調べ物のために資料を見ようと箱を開けたところ、同じ箱に「額田病院」の絵葉書が入っていることに気づきました。1923年に本学創立者のひとり額田豊が東京の麻布に構えた病院です。場所はちょうど今のミッドタウンや麻布警察署の近くといえば伝わるでしょうか。
残念ながら額田病院の建物は現存していませんが、完成後間もなくして起きた関東大震災にも耐えた建物でした。設計したのは建築家の増田清氏、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、現在資料室のある医学部本館(大森キャンパス)と同じ建築家です。
これまで、額田病院の写真を探してきたのですがなかなか残っておらず、当時の新聞記事などの文章中に文字情報として出てくるだけでした。今回の資料は絵葉書ではありますが、ようやく全体像にありつくことができました。窓の間に規則的に配置された丸形の意匠や、向かって左側にある傾斜のついた屋根がとても気になりますね。医学部本館よりはアール・デコの要素が少ないように見受けられます。
この建物は地下1階地上3階建てで、なんと屋上には庭園があったそうです。100年も前の時代に屋上庭園が…と驚いてしまいましたが、デパートの屋上に遊び場が設置されたのはこれよりも前ですので、屋上に機能を持たせることが広まりつつある時代だったのでしょう。また、この建物が完成した当時、鉄筋コンクリート造でしかも水洗トイレが完備されているということもあり、読売新聞(1923年4月4日)の記事で「近代的設備」と評され、全国から見学者が訪れたといいます。
ここで建築家の増田清氏についてもご紹介したいのですが、じつは2019年12月19日のブログ記事でも取り上げていますので、ご関心お持ちの方はぜひ下のリンクからご参照ください!
投稿者:スタッフ
カテゴリー:資料について