夏を惜しんで

本日で8月も終わりですね。
これまでも何度か触れさせていただきましたが、今年はなんだか夏らしくなりきらないうちに9月に突入してしまいそうです。

戦前の本学機関誌である『高峯』になんとも夏らしい記述を見つけました。気分だけでも夏らしさを味わっていただきたく思い、今回はこちらををご紹介させていただきたいと思います。
出典は昭和12年(1937年)9月発行の『高峯』(第5巻第9号)からで、寄稿者は当時の産婦人科教授であった赤須文男です。一部抜粋にてご紹介させていただきます。

「夏を追う」

“太っていて、水々しい小生などは、動くと云う事が、暑さを皆々様に連想される事になるんですから、動かないものと思ってゝ下さい。
× ×
アイスコーヒー、氷、扇風機、圓タク-------之だけは小生は夏には節約しない事にしました。
× ×
窓を解放してチェリーを無茶苦茶にすつて、本を讀んで、時々、何か書いてゐます。之が小生の自宅の書斎内の生活。
× ×
病院では女医先生方と共々、病める女性方に取巻かれて-----ノウネクタイで働いてゐます。”
                        
(旧字を一部新字に改めた以外は、原文ママ)

ちなみに圓タクとは大正末期から昭和初期にかけて特定地域を1円均一で走ったタクシーのことだそうです。 わかりやすく、なかなか便利な料金制度でうらやましい限りですね。こちらからも時代を偲ばせます。
少しばかりは夏らしさを感じていただけましたでしょうか。
とってもユーモラスな文を寄稿されている赤須氏は、他の号では性ホルモンのことなど、極めて学問的でまじめな文章を寄稿されています。
砕けた文章だからこそ人物像が垣間見えて、本当に興味深い限りです。

さて夏が過ぎて本格的な秋が始まる頃、本資料室は展示をリニューアルいたします。
完了次第また告知いたしますので、ぜひご足をお運びいただければ幸いです。

投稿者:スタッフ

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