展示資料 『空襲救護』(昭和18年発行)

今日は、展示品のひとつである『空襲救護』をご紹介します。


『空襲救護』は、戦中に学内で組織された「帝国女子医専報告団」によって編集された
空襲時の対処法をまとめた啓蒙書です。

奥付によると、昭和18年5月20日に
東京市芝区(現在の港区)にある十二月書店から発行されています。
直接的なタイトルと表紙が時代を表していますね。

本学の産科医であった赤須文男教授は、
「緒論」において『空襲救護』の内容を次のように述べています。

  一般民衆が空襲下に於て医師による医療を受ける以前にとるべき応急処置に就て、
  各専門家を煩はして平易に之を記述せるものである。尚、之に関して理論的方面も併
  記し、焼夷弾、爆弾等の常識も付加して編集したものである。

昭和16年12月に開戦した日米戦において
翌年4月18日に初めて日本本土への空襲が行われ
東京・川崎・横須賀などで50人の死者が出ています。

その時の「空襲時には医師以外の人々にも初期医療の知識が必要になる」という教訓から
この本は編集されました。


徴集によって全国的な医師不足が深刻となる中、
空襲時の医者の負担を軽減するために
このような啓蒙活動も行っていたことが分かる資料です。

投稿者:管理者

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