理学部物理学科

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近藤淳名誉教授が令和2年度文化勲章を受賞されました。

近藤先生は、1930年に東京に生まれ、1959年に東京大学大学院数物系研究科博士課程を修了された後、日本大学理工学部助手、東京大学物性研究所助手を経て1963年より通産省工業技術院電気試験所(1970年より電子技術総合研究所、2001年より現在の産業技術総合研究所)に入所され、物性物理学の理論的研究に多大なる貢献をなされました。1990年に電子技術総合研究所を退官なさったあと、東邦大学理学部教授として本学に着任され、1995年の定年退職まで、本学の教育、研究に尽くされました。退職後の1995年より東邦大学名誉教授になられております。近藤先生は、これまで、仁科記念賞、日本学士院賞・恩賜賞、通商産業大臣賞、朝日賞、藤原賞、Fritz London Prize、Acta Metallugica Gold Medalなどを受賞するとともに、2003年には文化功労者として顕彰を受けていらっしゃいます。また、1997年からは日本学士院会員、2001年からは産業技術総合研究所特別顧問、2009年には米国アカデミーの外国人会員にも選ばれました。

近藤先生の最もよく知られたご業績は、磁性不純物を含んだ金属の電気抵抗の振る舞いに関するもので、「近藤効果」と呼ばれるものです。通常、金属の電気抵抗は温度を下げていくと、減少していくものですが、磁性不純物を含む金属では、ある温度をさかいに電気抵抗が上昇を示し、その原因が謎でした。近藤先生は、この現象が磁性不純物の局在スピンと伝導電子との相互作用によってもたらされることを理論的に解明し、それまで謎だった低温における磁性合金の電気抵抗の特徴的な温度依存性の問題を解決しました。こうした物理現象は「近藤効果」と呼ばれ、電気抵抗が上昇し始める温度は「近藤温度」と呼ばれています。このような「近藤効果」は、磁性合金だけにとどまらず、2000年ごろには、微細加工技術の進展に伴って作られるようになった量子ドットを用いた人工原子においても観測され、近藤効果の重要性が再認識されました。また、磁性と電気伝導とが関わる現象は、物性物理学の最も重要かつ普遍的な問題の一つであり、近藤先生のご研究は、その後大きな発展を遂げた、重たい電子系の物理や強相関電子系の物理といった物性物理学の一大分野のもととなった偉大な研究です。

近藤先生は、東邦大学理学部に着任なさってからは、小野嘉之先生(現東邦大学名誉教授)、大槻東巳先生(現上智大学教授)とともに、物理学科における物性理論教室を立ち上げ、学生の教育と研究指導にもご尽力されました。そのお人柄からか、「近藤効果」をまだ習っていない、高校を卒業したばかりの学部学生にも大変人気があったとのことです。

近藤先生が立ち上げた物性理論教室に在籍するものとして、このたびの文化勲章受賞を心よりお祝い申し上げますとともに、ますますのご活躍をお祈りいたします。

東邦大学理学部物理学科
河原林透

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