理学部物理学科

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2017年度物理学科コロキウム(7月5日)

日時

2017年7月5日(水)16:00 - 17:00

場所

理学部5号館 2階 5210

講師

穂坂 綱一 氏 (東京工業大学 理学院 助教)


開催内容

水素分子の光解離で生成するH(2p)原子ペアのもつれ

“もつれ(エンタングルメント)”とは全体の波動関数が部分系の波動関数の積では表せないことである。近年、“もつれ”を利用した新しい量子技術が発展している。更に最近では、原子やイオンなど様々な物理系の時空間制御により“もつれた”物質を作る技術が進展しつつある。我々は分子の光解離過程に着目した。すなわち、光解離原子ペアが、分子励起状態の対称性を反映し、非局所的な相関、“もつれ”を持つ事を理論的に予測し[JPB, 40, 617(2007)]、その実証実験にとりかかった。水素分子の光解離で生成するH(2p)ペアがもつれているかどうかを判定するためには、 その電子状態を解明する必要がある。H(2p)原子ペアの電子状態は、核間距離~100μmで2p→1s遷移により放出されるLyman-α光子ペアの放出角度相関関数(Angular correlation function : ACF)測定により診断できる。診断の結果、以下の2つの事実が判明した[PRA, 90, 043405(2014)]。
① H(2p)+H(2p)原子ペアの状態は、上記で予測された“もつれ”状態ではない、
② しかし、上記で予測された“もつれ”が解けた積状態でもない。
分子の解離は想像以上に複雑であり、分子領域から、核間距離∞の原子ペア領域に到るまでの間に、対称性の消失と変化がおこっていることを想起させる。この予想外な状態変化の解明を目的に、H2分子とHD分子の光解離に起因するACFを比較した。H2では2つの核は同種であるが、HDでは異種である。したがって、それぞれから導かれるH(2p)原子ペアに交換対称性の観点で差が生じることが期待されるためである。
他学部、他学科の教員、学生のみなさんの聴講も大歓迎です。

お問い合わせ先は物理学科コロキウム係:大江純一郎 junichirou.ohe(atmark)sci.toho-u.ac.jp   (atmark)は@です。

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