2016年12月16日(水)16:30 - 17:30

理学部5号館　2階　5208

酒井 英明　氏　（大阪大学理学研究科　准教授）

エネルギーが波数に比例する特殊なバンド分散関係を有するディラック電子系物質は、黒鉛の単原子層であるグラフェンの発見を契機に、基礎・応用の両面から精力的に研究がなされています。ディラック電子系の特徴の一つは、非常に高い移動度と、それに起因する特異な磁気伝導特性です。例えばグラフェンでは、ディラック点におけるベリー位相に由来する半整数量子ホール効果が生じ、さらにそれが室温でも観測できます。もしこれらの優れた量子伝導が、外部磁場に加え固体中のスピンで制御可能となれば、新しいスピントロニクスへの応用も期待できます。
そこで我々のグループでは、このような磁性ディラック電子系の新規開拓を目指し、多彩な磁気秩序を実現できるバルク磁性体を対象に物質開発を進めています。本コロキウムでは、この過程で近年見出した、ディラック伝導層と反強磁性層が積層した磁性体EuMnBi2を中心に、磁気秩序を利用したディラック電子の量子伝導制御について紹介します。

他学部、他学科の教員、学生のみなさんの聴講も大歓迎です。

お問い合わせ先は物理学科コロキウム係：大江純一郎　junichirou.ohe(atmark)sci.toho-u.ac.jp　　　(atmark)は＠です。