理学部物理学科

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2014年度物理学科コロキウム(2014年6月18日)

日時

2014年6月18日(水)16:00 - 16:45 (吉田先生)、 16:45 - 17:30 (三宅先生)

場所

理学部5号館 2階 5208

講師

吉田 靖雄氏(東京大学物性研究所), 三宅 厚志 氏(東京大学物性研究所)

開催内容

スピンを見る顕微鏡(吉田)、極限環境下での物性研究(三宅)

「スピンを見る顕微鏡」
吉田 靖雄 氏
走査トンネル顕微鏡(STM)を応用した技術の中で、この10年間に最も発展した手法の一つであるスピン偏極STMは、表面上のナノスケール磁性体や磁性薄膜の複雑な磁気構造を原子スケールで調べることができる強力かつ唯一の手段である[1, 2]。一方で、STMは単に顕微鏡としてだけではなく、表面上の一原子、一分子からナノ構造物を構築する手段(原子・分子マニピュレーション)としても発展しており、理論モデルに近い低次元系などを作り出して、その電子状態や磁性を調べるという研究も可能になりつつある。最近われわれは、これら二つの手法を組み合わせて研究を行い、らせん磁性を示す表面に蒸着された磁性単原子のスピンの向きを、スピン偏極STMにより検知し、マニピュレーションによってコントロールするという実験に成功した[3]。また、同じ磁性表面において、探針によって原子をマニピュレーションしながらSTMを行う、マニピュレーション・イメージングという手法とSP-STMを組み合わせた測定を行い、スピンの向きに応じて摩擦力が変化する現象、つまり磁性に起因する摩擦力を検知することに成功した[4]。本講演では、これらの研究について詳しく紹介する。
[1] M. Bode et al., Nature 447, 190-193 (2007)
[2] Y. Yoshida et al., Phys. Rev. Lett. 108, 087205 (2012)
[3] D. Serrate, P. Ferriani, Y. Yoshida et al., Nature Nanotech. 5, 350-353 (2010)
[4] B. Wolter, Y. Yoshida et al., Phys. Rev. Lett. 109, No. 11, p.116102 (2012)

「極限環境下での物性研究」 
三宅 厚志 氏 
物性を支配する電子間相互作用は磁場、高圧力、電場などの外場により制御でき、多彩な電子状態が見いだされてきた。圧力下では物質が高密度状態になり電子間相互作用が変化するために相転移が起き、特異な結晶構造、電子状態が実現する。また、電子のスピンは磁場に敏感に反応し、多様な磁気構造をとる。さらに、磁場中で運動する電子はサイクロトロン運動を行い、そのエネルギーは量子化されるために量子振動、量子ホール効果など磁場下でのみ現れる量子効果が多数発見されてきた。このように通常の環境では見る事のできない現象に遭遇できるのが、極限物性の醍醐味である。さらなる極限環境領域の拡大は新たな研究の場の提供、新奇現象の発見のために重要である。 本講演では、我々が行ってきた強相関電子系物質を対象としたダイヤモンドアンビルセルを用いた10 GPa超級の高圧力下、パルス磁石を用いた50 T超級の強磁場下での研究について紹介する。また、現在取り組んでいる両者を組み合わせた複合極限環境の開発について紹介する。
参考文献:伊達宗之,極限の科学—低温・高圧・強磁場の物理(ブルーバックス)


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