コラム 『ガリレオの部屋』
レポートを書いてくれたのは4年生のA.Kさん。彼女は昨年、もう一人の4年生と共に国立天文台ハワイ観測所が募集した「すばる望遠鏡・観測研究体験企画」に参加してきました。じつは、ここ数年、必ず1名か2名の学生さんが東邦大学・物理学科からこの企画に参加しています。(参加するにはレポートを書くなどして厳しい審査に合格しなければなりません。)A.Kさんは宇宙・素粒子教室(現宇宙物理学教室)に在籍し、国立天文台で卒業研究(外研生)を行っていました。
特別編 スバル観測体験企画2007に参加して

すばる望遠鏡は世界最大級の大きさを誇る日本の可視光および赤外線望遠鏡です。世界中の天文台が競って望遠鏡をつくるサイト、ハワイ島マウナケア山山頂4200mの高地に作られ、今までにたくさんの天文学的功績を残してきています。今回、このすばる望遠鏡で実際に観測を体験でき大変貴重な経験を積むことができました。
実習のテーマは「合体銀河の進化」ということで、「MOIRCS」と呼ばれる装置を用いた近赤外線での観測をしました。この装置は、撮像・分光モードがあり、すばるの観測装置の中では一番新しい装置です。今回は撮像観測だったので、広視野で近赤外線としては巨大な400万画素の性能を目の当りにすることになりました。観測本番の夜は、湿度が高くあまり良い条件ではありませんでしたが、なんとか観測を無事に終了することができました。もちろん、初めての観測で全く余裕が無く、勉強不足さや観測の難しさを身にしみて感じたように思います。また、高地での観測だったので、気圧の変化による頭痛は本当につらかったです。けれど、マウナケア山を車で登って雲の上に出たときの感動や、観測後に満天の星空を見上げた時の充実した気持ちはいつまでも忘れることはないでしょう。山頂に建っていたすばる望遠鏡の美しい姿は、今もまぶたの裏に焼付いています。

観測以外には、見学やセミナー、データ解析やサイエンスの話など、たくさんのことを日本や現地のスタッフに教えていただきました。そのようなスタッフの方々や、同じような気持ちでこの企画に参加し、共に観測をした新しい友達たち、この企画に携っている全ての人とのつながりの中で、普段の生活では感じることが出来ないような濃い時間を過ごすことができたと思っています。