理学部生命圏環境科学科

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風呂田利夫教授 最終講義

プランクトンとベントスの間(はざま)で

 今年度で定年退職される風呂田利夫教授の最終講義「プランクトンとベントスの間(はざま)で」が2013年2月13日(水) 薬学部C館101教室で行われ、学生だけでなく多くの卒業生や関係者が聴講に訪れました。  風呂田教授は本学理学部生物学科を卒業されてからそのまま助手として着任され、その後43年間に渡って東京湾をはじめとするフィールドで、ベントスの調査研究およびその経験を生かした海の環境教育に従事されてきました。また生命圏環境科学科の立ち上げに尽力され、2005年の設立とともに本学科に移籍されました。  海の生態系において重要な位置を占めるプランクトンとベントスとの関わりを通して何が分かったのか、これまでの研究成果を紹介されました。

※プラクトン:ミジンコなどの遊泳能力が低く、水中を漂う“浮遊生物”
   ベ ン ト ス:カニや貝などの水底の表面や中に棲む“底生生物”
 本講義では、まず研究者の出発点であったプランクトンの研究からベントスの研究に転換したきっかけについてお話されました。ダイビングでプランクトンを実際に観察し、不均一に分布するプランクトンの実態を把握することには限界があると感じた経験や、上司である秋山先生が始めた干潟の生物調査に同行してベントスとふれあったことが転換点になったそうです。
ベントスに興味を持ってからは全国の干潟を行脚し、精力的に研究を行われました。その後、近くてすぐに潜りに行ける距離にも関わらず、当時“死の海”と呼ばれ、生物について誰も調べていなかったことから東京湾に腰を据え、研究を始められたそうです。東京湾の全域を仲間たちとともに調べ上げ、「数多くの生物が生息していて驚いた」と当時の写真やデータを見せながら紹介されました。さらに東京湾の厳しい環境の中で繁栄する外来種や生き残った在来種の生き様を、プランクトンとベントスの両面から調べた結果、それぞれが生き残る戦略を持っていたことを生き生きと語られました。なかでも干潟のベントスに注目すると、干潟間のネットワークを活用した戦略が多くあり、それらは“干潟ネットワーク”という概念にまとめられ、干潟の保全を考える上で重要な理論になったと述べられました。
 最後に今後の展望として、自宅近くの印旛沼で漁師になることや子供たちに向けた干潟の環境教育を継続して行っていくことなどを話されました。風呂田先生は、それらを通して水の中に潜む生物とこれからも好き放題ふれあっていきたいと嬉しそうに顔を輝かせていました。
 講演後には教員や学生から大漁旗やお酒などといった様々なプレゼントが贈呈されました。

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