『東京湾 三番瀬の生きもの観察会』2012調査結果報告
2012年5月20日(日)に行われた観察会で確認された種をリストアップしました。なお三番瀬の生き物はこれが全てではありません。詳細については観察会の開催報告をご覧ください。
今回の観察会では26名の参加がありました。1人当たり約50m四方を歩き回り、表面にいる生き物や掘って中に潜む生き物を探し、56種群の生き物を確認しました。その発見率別で見てみると・・・
参加者の1/3以上が見つけた生き物(緑色の部分)
トップは干潟の代表的な生き物 アサリでした。参加者が多く見つけた生き物の共通の特徴としては以下のものが挙げられます。
- 目につくサイズ(2、3cm以上の大きさ)
- 密度が高い
- 干潟表面をよく動き回る
- 干潟の浅い部分に生息する(深さ10cm以内)
- 干潟表面に大きな痕跡を残す
=発見しやすい特性をもつ生き物ばかり。
(写真:タマシキゴカイの糞塊)
参加者の1名のみが見つけた生き物(ピンク色の部分)
共通する特徴としては以下のものが挙げられます。
- サイズが小さいものが多い(1cm以下)
- 密度が低い
- 特定の場所(カキ礁の中、流れ藻に隠れているなど)にのみ生息し、動き回らない。
- 深い場所に生息する(深さ30cmほど)
=発見・認識しにくい生き物ばかり。
(写真:メリタヨコエビの仲間)
発見率を上げるには・・・
- 干潟の奇妙な生き物たちの形を認識する
- 干潟面の様々な環境の違いを知る
- どこにどんな生き物がいるのかを知る
=干潟と触れあえる機会を増やすことが必要
生き物から見えてくる三番瀬の特徴
今回得られた生き物を生息場所別に分けると・・・
(種名を選択すると写真が表示されます:東邦大学理学部東京湾生態系研究センター サイト)
(種名を選択すると写真が表示されます:東邦大学理学部東京湾生態系研究センター サイト)
これら結果から三番瀬は主に砂質の干潟であることを示しています。ただし周辺には護岸やカキ礁、また泥が溜まる場所もあり、そのため泥や護岸があるところに生息する生き物も観察されました。また今回、確認された希少種8種のうち5種は砂の干潟で、外来種または外来種の疑いがあるもののほとんどは護岸やカキ礁周辺で観察されました。このことから三番瀬にもともと生息する希少種を保全するためには今ある砂質の干潟を保全し、これ以上護岸やカキ礁を増やさないようにする必要があります。
今回、確認された生き物