ヤンバルクイナとダニの良い関係
東邦大学の脇 司准教授の研究グループが、ヤンバルクイナの羽から、その羽を掃除するウモウダニを発見し新種として記載しました。本研究は、国際誌「Species Diversity(ISSN 0287-0223)」に掲載されました。また、本大学からプレスリリースが発表されました。

宿主鳥種ヤンバルクイナ.写真:環境省やんばる自然保護官事務所.
ウモウダニは、鳥の羽に付き、その羽の古い油やそこについた菌類やバクテリアなどを食べて生活しています。鳥の生きた血を吸ったり組織を食べたりすることはないことから、一般にウモウダニは鳥の羽の汚れを取る相利共生者と考えられます。
ヤンバルクイナは、1981年に新種として記載された沖縄島北部の固有種で、環境省レッドリストでは絶滅危惧IA類(CR)となっています。ヤンバルクイナは脚が発達しており、歩いたり走ったりするのは得意ですが、羽ばたいて飛翔することができません。このため、外来種のマングースなど、人によって沖縄島に持ち込まれてしまった地上を歩く捕食者に襲われたり、車との交通事故などの危険にさらされたりしてきました。現在は、様々な対策により個体数が回復傾向にあります。
脇准教授の研究グループは、2008年か2020年にかけて集められて冷凍保管されていたヤンバルクイナの標本の羽を調べました。その結果、ヤンバルクイナにだけ付く新種ヤンバルクイナウモウダニを発見しました。
ウモウダニは、鳥の羽に付き、その羽の古い油やそこについた菌類やバクテリアなどを食べて生活しています。鳥の生きた血を吸ったり組織を食べたりすることはないことから、一般にウモウダニは鳥の羽の汚れを取る相利共生者と考えられます。
ヤンバルクイナは、1981年に新種として記載された沖縄島北部の固有種で、環境省レッドリストでは絶滅危惧IA類(CR)となっています。ヤンバルクイナは脚が発達しており、歩いたり走ったりするのは得意ですが、羽ばたいて飛翔することができません。このため、外来種のマングースなど、人によって沖縄島に持ち込まれてしまった地上を歩く捕食者に襲われたり、車との交通事故などの危険にさらされたりしてきました。現在は、様々な対策により個体数が回復傾向にあります。
脇准教授の研究グループは、2008年か2020年にかけて集められて冷凍保管されていたヤンバルクイナの標本の羽を調べました。その結果、ヤンバルクイナにだけ付く新種ヤンバルクイナウモウダニを発見しました。

ヤンバルクイナウモウダニ.写真:脇 司.
脇准教授は、過去にもトキウモウダニCompressalges nipponiae Dubinin, 1950 が トキNipponia nippon (Temminck, 1835) にしか付かず、1属1種でトキとともに長い間進化を遂げてきたと考えられることを明らかにされました。残念ながら、このトキウモウダニは、宿主トキの日本を含む極東個体群(日本、韓国、ロシア南東部)が絶滅したことで、同時に絶滅したと考えられています(現在,日本で野生化したトキは中国の個体群由来のためトキウモウダニは着いていません)。ヤンバルクイナがいなければ、ヤンバルクイナウモウダニは生きていくことができません。このダニも、ヤンバルクイナと同様に絶滅が危惧される生物といえるでしょう。
◆ プレスリリース発表者名
脇 司(東邦大学理学部生命圏環境科学科 准教授)
セルゲイ ミロノフ (ロシア科学アカデミー)
中谷裕美子(NPO法人 どうぶつたちの病院 沖縄)
長嶺 隆(NPO法人 どうぶつたちの病院 沖縄)
島野 智之(法政大学自然科学センター/国際文化学部国際文化学科 教授)
雑誌名:「Species Diversity」
論文タイトル:A new feather mite species of genus Metanalges (Acariformes: Analgidae) from the Okinawa Rail, Hypotaenidia okinawae (Gruiformes: Rallidae), in Okinawa Island, Japan
著者:Tsukasa Waki, Sergey Mironov, Yumiko Nakaya, Takashi Nagamine, and Satoshi Shimano
◆ プレスリリース発表者名
脇 司(東邦大学理学部生命圏環境科学科 准教授)
セルゲイ ミロノフ (ロシア科学アカデミー)
中谷裕美子(NPO法人 どうぶつたちの病院 沖縄)
長嶺 隆(NPO法人 どうぶつたちの病院 沖縄)
島野 智之(法政大学自然科学センター/国際文化学部国際文化学科 教授)
雑誌名:「Species Diversity」
論文タイトル:A new feather mite species of genus Metanalges (Acariformes: Analgidae) from the Okinawa Rail, Hypotaenidia okinawae (Gruiformes: Rallidae), in Okinawa Island, Japan
著者:Tsukasa Waki, Sergey Mironov, Yumiko Nakaya, Takashi Nagamine, and Satoshi Shimano