Sortition:新しい「市民参加」のかたち
エネルギー問題や環境問題等、市民の生活に関わる意思決定を行う上で、新しい市民参加の手法を研究し、実践していくことが必要とされています。今回は、2018年1月16日~17日にかけて、スペインのマドリードで行われた、Sortitionという新しい市民参加の手法を実践する組織のネットワーク、Democracy R&Dの立ち上げ総会に参加してきました。
Sotrtitionとは
政治的意思決定に市民の声を取り入れる取り組みが世界各国で行われており、その手法の一つとしてSortition(和訳するとくじ引き制)があります。無作為抽出で選ばれた市民が中立的な情報提供を受け議論するのですが、一人で回答する世論調査とは異なり、他者とじっくりと議論して結果が得られるということで、欧州、カナダ、オーストラリアでは制度化され始めています。日本でも2000年頃より取り組まれており、今後の発展が期待されています。
日本と海外の違い
今回の参加者のほとんどがSortitionの実践者で、大学の先生は数名しか参加しておりませんでした。日本では、大学の先生が中心になって取り組まれておりますので、大きな違いを感じました。参加していた海外の研究者は、「私たちは彼らの手法を批判する立場なので、嫌われ者よ」と言っていました。新しい市民参加に研究ではなく実践として取り組むニーズがあるのだとつくづく感じました。
また、会議はワークショップ形式で行われたのも特徴的でした。日本であれば、議事次第が決まっている会議形式で話し合われることが多いかと思いますが、今回は意見を出し合いながら、お互いのことを知りながら、手探りで会議が進められました。
また、会議はワークショップ形式で行われたのも特徴的でした。日本であれば、議事次第が決まっている会議形式で話し合われることが多いかと思いますが、今回は意見を出し合いながら、お互いのことを知りながら、手探りで会議が進められました。
日本の役割
Sortitionのシステムは制度化されているものの、まだ明らかになっていないことは多く、研究が進められている段階です。例えば、無作為抽出型の会議の意思決定や会議参加者へのインパクト、中立的な情報をいかにして作り上げるかなど、各国の組織がそれぞれのやり方で取り組みを進めています。今回設立されたネットワークでは、各国の実践を紹介しあい、互いに学びあうということも期待されています。日本もアクターの一つとして、実践を積み重ねていきます。
生命圏とのつながり
私がこのような会議に参加している理由は、分散型エネルギー社会を構築する上で地域の市民参加が不可欠であると考えるからです。その一つの手法としてSortitionがあると思いますので、Democracy R&Dの取り組みに参加しながら、日本の実践と研究を推進していきたいと思います。