理学部生命圏環境科学科

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「二酸化炭素地中貯留研究のフロンティア」 国際会議レポート シリーズI(2016年11月)

生命圏の上原です。2016年7月末から8月にかけての一週間、中国の北京に行ってきました。目的はAOGS 2016(Asia Oceania Geoscience Society 13th Annual Meeting; アジア・オセアニア地球科学学会第13回年次大会)という学術会議に参加するためです。この会議では地球惑星科学に関する幅広い分野(地球中心部のことから大気科学、地球以外の惑星の科学まで、基礎的なことだけでなく応用的なことも)についての数多くの発表が、5日間にわたって行われました。会議の名前の通り、アジア地域を中心に多くの国からの参加者がありましたが、中国からの人が特に目立った気がします。
このコラムでは、2回にわたって、この学会で私が注目したトピックなどについてご紹介します。

北京国家会議センター(China National Convention Center)
学会の会場である北京国家会議センター(China National Convention Center)は、北京オリンピックが行われたときの会場付近にあります。窓から見えるユニークな建物(真ん中付近)、見覚えがあるひともいるのでは。

地球温暖化防止の鍵になるか?: CO2地中貯留(CCS技術)

 さて、今回の学会で、私は主に2つのトピックについて注目しました。ひとつは「二酸化炭素地中貯留(CCS)」というプロジェクトについてのセッションです。このプロジェクトは、人為的な地球温暖化に対する対策のひとつとして、火力発電所などで大量に発生する二酸化炭素を地下に貯留することで、温暖化ガスの排出量をコントロールしようというもので、日本をはじめ世界各国で、実現に向けて研究・検討がされております。例えば、地下に二酸化炭素を注入した場合、地下水環境にどのような影響を与えるのか、二酸化炭素やそれによって押し出された水は地上に漏れたりしないのか、どういう地質に貯留するのが“かしこい”のか、など、さまざまな研究課題があります。
 この分野の最新の研究のひとつに、“デジタル ロック フィジックス”と呼ばれるものがあります。今回の学会でも、九州大学のグループがそれに関する発表をしていたのですが、これは、岩石の中身をX線CTで撮影した結果を使って、コンピューターの中に岩石のすき間を再現し、その中に水や二酸化炭素を注入したときにどのような挙動をするかをシミュレーションする、というものです。今回私は、このセッションで研究発表したのですが、その内容も、岩石の中の割れ目に二酸化炭素が浸透させる数値シミュレーションだったこともあり、この研究には強く興味を惹かれました。
 このセッションを通じて、海外、国内問わずひさびさの再会を果たしたり、新しい人と出会ったりしました。特に、つい最近、私の研究室の学生が読んでいた論文の著者と知り合いになれたのは大きな収穫でした。このような、「人との出会い」も、学会の醍醐味のひとつです。
 次回のコラムでは、私の注目したもう一つのトピック、地震と断層のメカニズムに関することなどについてご紹介します。

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