美しい貝殻の本を出版 著者の学生にインタビュー(2016年10月)
生命圏環境科学科に在籍している寺本沙也加さんが、これまでの貝類の収集、観察、研究の成果を一冊の本にして出版されました。今回は、寺本さんの貝にかける思いと、今後の研究についてインタビューした記事をお送りします。
書籍情報:寺本 沙也加著,大作 晃一写真,池田 等監修
『ときめく貝殻図鑑』(山と渓谷社)
貝殻に興味を持ったのはなぜですか?
私は物心つく前から貝類に興味を持っていました。そのなかでも貝の世界にのめり込むきっかけとなったのは、ヒメネジガイを採集した経験です。小学校2年生の私はイソギンチャクを指で突つくと、収縮したイソギンチャクの根本に美しいヒメネジガイをみつけました。生き貝の透き通る宝石のような美しさに感動し、貝の魅力、採集する楽しさに気が付きました。それ以来19年に渡り、貝類の採集、観察、研究を行ってきました。
大学生の出版とあって話題になっています。本を出版されて反響はどうですか?
出版に至ったきっかけは、文化財レスキューにおいて陸前高田市博の貝標本の洗浄に協力した遠藤貝類博の紹介によるものです。執筆の作業は依頼があってから約1ヶ月で完了しました。専門家でもない学生の私が書いた本が、世間に受け入れられるのかとても不安で発刊まで寝られない日々が続きましたが、その不安とは反対に好評をいただき、アマゾンでもベストセラー1位を獲得しました。
今後はどんな研究に取り組む予定ですか?
私が現在興味を持っているのは、軟体動物の多様性に関することです。以前までは東北の浜を歩いて貝殻拾いのみしていましたが、大学に入学後はフィールドが日本全土になり、採集の方法も変わりました。潮間帯のみだった採集の範囲が潮下帯に広がり、素潜りによって採れる貝が劇的に変わりました。日本全国の貝類を集め、形態の違いをみたり、遺伝的に比較することをしてみたいと考えています。