再生可能エネルギー事業を手がける企業とのコラボレーション
2019年2月より、全国で風力発電事業を手がけるコスモエコパワー株式会社様と竹内研究室で、「地域と共存できる風力発電」について検討するため、共同研究を行ってきました。先日、その成果を学生が発表してまいりましたので、その概要と発表の様子についてお伝えいたします。
再生可能エネルギー事業と地域の共存
陸上風力発電の適地の条件でもっとも重要なのが、ある程度風が強い場所であること。山形県立川町など、強い風が厄介者であった地域では、風力発電事業が地域の経済活性化に貢献しています。しかし、風力発電事業は経済活性化に貢献する一方で、地域の自然環境に負荷をかけることもあります。地球温暖化問題に対応するためには、国内における再生可能エネルギー事業を増やすことも必要なことなのですが、自然豊かな日本において、その自然と引き換えに再生可能エネルギー事業を進めて良いものなのでしょうか?ましてや、地域の人々が手をかけて大事にしてきた自然や景観であれば、なおさら再生可能エネルギー事業との共存の道について対話をすることが大切になってきます。
地域とのふれあいの中で学びを得る
今回対象とした事例では、地域の景観や国有林の一部を切り開いて搬入路を作ることを理由に、地元の方が反対意見を表明していました。竹内研究室は、自治体や地元の自然保護団体、連合会長、一般の方々に対しヒアリングを行い、合意形成がうまくいかない理由についてヒアリング調査を進めてまいりました。研究者が、現在進行中のプロジェクトの入り込み、ヒアリングを行うのは珍しいと思いますが、現場でしか聞けない話、見ることができない景色、感覚を知ることができ、学生にとっても大変良い勉強になったようです。高齢化が進む地域においては、学生が訪問するだけで大きな励みになるとのことで、地域のお祭りにも参加させていただきました。
必要なのは事業者と地域関係者の対話のスキーム
1年間かけて、反対を表明している方々のお話をじっくりと聞きながら、どうしたら企業との合意形成が可能になるのか検討してきましたが、現場の環境や関わる人々、時代によって変わってくるもので、答えを簡単に導き出せるものではありません。だからこそ、地域の方々とのお話の内容は風力発電事業計画についてだけでなく、地域の課題やまちづくり、将来構想にまで広がります。そのような中で、風力発電事業計画が必要な場所がないのか探っていく作業でした。
一通りのヒアリングを終え、何が課題であったのか企業の方へご報告しましたが、地元の方がどのようなことを考えているのか、に関する質問が多く、それだけ、事業者と地域の方々の間に大きな隔たりがあるのだと感じました。どうしたら、地域の方にアプローチできるのか。事業者も地域の方もお互いを理解するための対話を行う仕組みを求めているのではないかと感じました。今後も、長期的に関わりながら、具体的な仕組みについて探っていきたいと考えています。
一通りのヒアリングを終え、何が課題であったのか企業の方へご報告しましたが、地元の方がどのようなことを考えているのか、に関する質問が多く、それだけ、事業者と地域の方々の間に大きな隔たりがあるのだと感じました。どうしたら、地域の方にアプローチできるのか。事業者も地域の方もお互いを理解するための対話を行う仕組みを求めているのではないかと感じました。今後も、長期的に関わりながら、具体的な仕組みについて探っていきたいと考えています。