理学部生命圏環境科学科

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「習志野市長と語る、白熱討議」と教育

去る11月8日(土)、にぎやかな東邦祭の期間中に、「習志野市長と語る、白熱討議」が開催され、宮本泰介習志野市長と生命圏環境科学科「環境管理科学ユニット科目」を履修している3・4年生14名が、将来のより良い習志野市づくりに向け、熱心な意見交換を行いました。このコラムでは、この経緯についてご説明させていただきます。

環境管理科学、って何?

 この取り組みは、生命圏環境科学科の「環境管理科学ユニット科目」の一環として行われたものです。ここで「環境管理科学」のご説明を少しさせて戴きます。生命圏環境科学科には現在、「地球科学コース」「環境化学コース」「環境生態学コース」「環境創成科学・管理科学コース」の4つのコースがあります。このうち、「環境創成科学・管理科学コース」は名前だけで見ると、内容が少し分かりにくいかもしれません。

◆「地球科学コース」「環境化学コース」「環境生態学コース」
 自然科学の領域にあたり、「真理の探究」を旨とするものです。このため、”Why”や”What”の疑問に答える学問を扱っています。例えば「なぜ気候変動が進むのか?」「何が気候変動の原因なのか?」などがこれにあたります。

これに対して、
◆「環境創成科学・管理科学コース」
工学や社会科学の領域にあります。これらの学問は「真理の探究」よりも「人類の幸福」を志向したものです。環境創成科学分野(工学分野)では、”How”の疑問に答える学問を扱っています。例えば、「低炭素社会の要素技術である電気自動車を、低価格かつ遠距離使うためにはどうしたら良いか」などの疑問に答えるものです。

そして、
環境管理科学部門(社会科学部門)は、”Which”の疑問に答えるものです。自然科学分野で明らかにされた真理の下に、工学分野で築きあげられた諸技術の評価を踏まえ、我々の社会の中でどれを選びとっていくのかを考える学問領域になります。

 さて、このような学問間での役割分担は、生命圏環境科学科の学科内にもありますが、当然ながら、いろいろな大学の学部間・学科間でもあります。生命圏環境科学科全体としては、自然科学・工学・社会科学の学際領域を扱っているため、「地球科学コース」「環境化学コース」「環境生態学コース」においても、真理の探究を目指しつつもそれが人類の幸福にどのように役立つのかをイメージできる学生の育成を目指しています。一方で、環境創成科学分野や環境管理科学分野においては、人類の幸福を目指しつつも、真理の探究にロマンを感じることのできる学生の育成を心がけています。

環境管理科学ユニット科目におけるアクティブラーニング

 社会科学分野を扱う環境管理科学ユニット科目では、「社会における課題解決のために、自然科学分野における成果や手法を用いて課題を分析し、合理的な解決に向けた意思決定に繋げる」ことを目標としています。このため、大学の近隣地域における具体的な課題を取り上げ、この課題を分析し、課題解決に向けた提案をまとめるということを毎年行っています。

 近年、このような学習スタイルは「アクティブラーニング」として注目されています。既存の教室における学習とは異なり、学習者が主体的に学ぶスタイルのことをアクティブラーニングと言います。このような形式の講義では、一度に学ぶことのできる学生数は限られる反面、知識の定着率が非常に高いことが明らかにされています。生命圏環境科学科では、このようなアクティブラーニング型の講義をたくさん用意しており、3年次のユニット科目もその一つとなっています。これまでも、千葉県内の都市化と農業の共生に関する提案をまとめたり、日本全国における地域レベルの再生可能エネルギーの導入の成功要因を明らかにしたり、全国の里山保全と環境アセスメント制度の関係について調査したり…など、様々なテーマのアクティブラーニングを行ってきました。
地域再生可能エネルギー導入に取り組む「藤野電力牧郷ラボ」訪問

 今年3月に習志野市と東邦大学が包括協定を締結したことで、習志野市から「市長と学生の対話会」を開催したいとのオファーを受けました。本年度の環境管理科学ユニット科目では、この機会を単なる意見交換会として終わらせるのではなく、学生のアクティブラーニングの場に使えないかと考えました。そこで、学生が主体的に習志野市のことを調べ、課題を抽出し、他の地域における同様の課題の解決事例を分析し、習志野市長に提案をする「実践授業」の場としてデザインしました。

講義の流れ

 14名の学生は、まず個々に習志野市の課題を調べました。習志野市議会への傍聴、基本計画や都市計画マスタープランなど各種計画の分析などから、課題の抽出を行いました。少子高齢化対策としての子育て支援、老朽化する公共施設の問題、学生の活躍の場所…などなどたくさんの課題が挙げられました。これらを社会人サポーターにぶつけたり、バザール形式で意見交換などを続け、履修者たちは自分の問題意識を明確にし、問題意識を共有する仲間づくりを進めていき、4つのテーマ(グループ)でのプレゼンテーションを行うことになりました。具体的には、市のゆるキャラである「ナラシド♪」の活用や、外国人との共生型まちづくりをめざしたマップの作成、皆が夢を語り合う場の設定や、学生が中心となってまちづくりを進める組織の提案、の4つです。

各グループは、これらの提案を練り上げ、何度もプレゼンのリハーサルをし、本番当日を迎えました。
チーム作りのための「バザール形式」での意見交換
グループごとの提案づくり
中間報告の様子

「白熱討議」の現場では

 やや緊張した雰囲気の中、「習志野市長と東邦大学学生の白熱討議」が始まりました。宮本泰介市長からのご挨拶を戴いた後、早速、4件のプレゼンテーションが行われました。市長からのコメントを戴くだけでなく、参加して下さった会場の皆さまからのご意見も戴くため、参加者全員にポストイットカードが配られ、各プレゼンテーションに対する疑問点や良かった点などを書いて戴き、会場内の模造紙に張り出す、という仕掛けも用意されました。

 宮本市長からは、今すぐに取り組みたいこととして、「ナラシド♪の部屋」のような専用サイトを作ることやナラシド♪のラインスタンプを作ることなどが挙げられました。また、学生が中心となった組織づくりについても、他市での事例などを踏まえ前向きに検討していきたい旨が述べられました。会場からのコメントも、ほとんどが各提案を支持するものでしたが、「学生がやれることをどんどん前向きに進めてほしい」など、学生の自主的な活動を期待するご意見もたくさん戴きました。この辺りは大学のサポート体制の課題になるかと思われます。そして、習志野市、東邦大学ともに、今後もこのような形式で意見交換を続けていくことの重要性が確認されました。今後のさらなる展開に繋がっていくことが期待されます。
3年生 新田陸くん による「共生まちづくり」プレゼンテーション
習志野市長との白熱ディスカッション
会場参加者の皆さんのご意見をまとめる柴田先生

 また当日は、ケーブルテレビのJCOMさんや船橋よみうりさんなど、複数のメディアが取材に駆けつけてくださいました。そして、プレゼンテーションを行った3年生の鈴木悠奨さん、新田陸さんの二人が取材を受け、翌日のニュースで放送されました。

おわりに

 今回の機会を通じ、環境管理科学ユニット科目の履修者は、いろいろなことに対する「気づき」を得ることができました。何よりも、講義だけでは分からない「自治体の現場」に触れることができ、何気なく通学している習志野市には様々な課題がある一方で、それを解決するべく多くの市の職員や議員の方々や、市民の方々の存在があることに気づきました。そして、自分たちが習志野市だけでなく、自分が住んでいるまちの「まちづくりの主役」の一人であることに気づきました。

 このような感覚を持ち、自分の家庭、自分の住む地域、自分の勤める企業・組織、そして自分の住む国や世界の担い手の一人であること、これらを変えることのできる力を持った主体であることに気付いたことと思います。さらに、これからの就職活動や卒業研究に自信を持って取り組んでいくモチベーションを得ることが出来た貴重な機会とすることが出来ました。

 ここに改めて、宮本泰介習志野市長、習志野市役所関係部署の皆さま、東邦大学関係者の皆さまに心より御礼を申し上げます。

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