理学部生命圏環境科学科

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"幻のカニ" 30年ぶりに確認

本学科4年生、柚原さんの研究が千葉日報1面に取り上げられました!

アリアケモドキとは

 アリアケモドキParacleistostoma cristatumは節足動物門甲殻類十脚目スナガニ科に属し、より内陸にある干潟面のヨシなど塩生植物が生えている場所に生息するカニです。生息地である干潟の後背地の植生がある場所は、埋立造成によって開発された宅地や工場用地となっており、千葉県内にほとんど残っていないのが現状なので、本種は希少な種とされ千葉県レッドデータブック(2000年)にも最重要保護生物であるランクAとして指定されています。
 東京湾内湾部(観音崎と富津岬より以北)では、1978年に生命圏環境科学科の風呂田利夫教授により、市川市の新浜湖で確認されて以来、30年間出現記録がありませんでした。

偶然の出現確認

 私は本年度生命圏環境科学科の卒業研究として、「東京湾埋立地内の水路における生物多様性の評価」と題し、千葉市から君津市にかけての東京湾沿岸の埋立地内に流れる水路を対象に、底生生物(貝・カニ・ゴカイなど)の生物相調査を行っております。
 そのような状況の中で、本年5月から6月にかけて、市原市内にある調査地点である「八幡運河」および「椎津川河口域」の2箇所それぞれで1個体ずつアリアケモドキの出現を確認しました。私は生物相の調査を行っているので、アリアケモドキを意図的に狙って探した訳ではなく、様々な底生生物を探し求め、水路内の干出面やヨシ原を歩き回っている際に、偶然確認したものでした。
 また、それら個体の1つは雌で抱卵(卵を抱えている)していたので、これらの水路を含む東京湾内湾部で内部繁殖していることも確認されました。

後背湿地(生息場所の特徴として)

 三番瀬近くにある船橋海浜公園や木更津市の大規模な東京湾にある本来の干潟は、潮干狩り場に代表されるような砂質の「前浜干潟」とヨシなど塩生植物の群落を備えた泥質の「後背湿地」のセットで作られていました。しかし、船橋三番瀬のように現在の東京湾では、後背湿地はほとんど無くなりました。アリアケモドキはまさにそのような後背湿地に生息しているのです。

水路の役割について

 東京湾沿岸は1960年代より、干潟を埋め立て、工業用地・住宅用地として開発されてきました。今回、私が調査した場所は、埋立地とかつての海岸線の間に残る水路です。その水路の岸に、かつての「後背湿地」によく似た湿地が表れました。水路は埋め立ての際に作られた人工的なものですが、時が経つにつれ、土砂が堆積し干潟面ができ、ヨシ原の群落が形成され、小規模ながら擬似的な「後背湿地」の様相を呈していると言えます。

今回アリアケモドキを確認した水路とは別の場所で、千葉県レッドデータブックでの最重要保護生物(Aランク)の巻貝である「ウミニナ」も確認されました。ほとんどの後背湿地が失われた東京湾の中で、希少生物の保全に対してこのような水路の果たす役割は無視できないと思いますが、大抵は工場地帯、緩衝緑地内、産業道路沿いなどにあってアクセスしづらい場所にあるためか、人目につきづらく研究の対象となっていませんでした。今回の希少種であるアリアケモドキの出現確認によって、水路の保全生物学的評価に対して一石を投じることができればと思います。
 私の研究対象である水路の本来の目的は、排水に限定されていると思われます。しかし、上記に述べたように小規模な「後背湿地」のような役割を果たしているとすれば、水路は排水目的だけではなく、身近に存在する自然として環境学習の場としての利用をしながら、その環境と生物相の保全をはかる必要があると思います。

柚原さんの研究が紹介された記事

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