理学部教養科

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自己紹介とコラム(武田渉先生)

今年の4月より安冨先生の後任として数学教室に着任いたしました武田渉です。専門分野は数学ですが特に整数論の研究をしております。1,2,3,4,…と続く整数やそれを少し一般化した対象を研究しております。着任のご挨拶ではありますが、「知識の海 ~教養科教員によるコラム~」というコーナー名に甘えて、ここからは数学のお話をしようと思います。

私は数学者ということもあり、現代社会における数学の応用についてよく聞かれることがあります。最近は便利な時代のため、ネットで調べれば応用例は出てきますが、専門的過ぎやピンとこないこともあると思います。(ちなみにネットで調べてすぐに関連する情報や人気の情報が出る背景にも数学が潜んでおります)。ここで数学の応用の話をしっかりとするのは少し長くなってしまいそうなため、今回は簡単な数学豆知識のようなものを書きます。

抽選方法の一つとして、「あみだくじ」と呼ばれるくじがあります。様々な役割を同時に決めることができて便利なため、使ったことがある方もいると思います。何気なく使っているあみだくじですが実は平等とは言えないくじになっています。
直感的に考えてみると、横線にぶつかって左に行く回数と右に行く確率は50%ずつで回数も同じくらいである気もします。つまり、選んだ点からずっと左や右に行くことは少ないでしょう。そのため、選んだ点の真下の周辺がたどり着きやすい(左右の移動回数がほぼ同じ)気もします。
実際、例えば10人でバーベキューをすることになり、それぞれ役割を決めるとします。役割によってはいろいろと便利不便があるため、楽しくできる役割の方が良いです。さて、1人1本ずつランダムに描いて、横線が10本のあみだくじを書いて決めるとします。理想的な状況はそれぞれ10%ですが、どれも真下に行く確率は27%以上で理想値の3倍近い値です。特に端から同じ端に行く確率は49%のため、偏りはひどいです。
さすがによくないと思って、1人5本ずつ描いて横線が50本にすると、端から同じ端に行く確率は23%で少しは改善し、同様に他の真下に行く確率も外側から順に20%、16%、13%、12%と理想値に近づきます。横線が50本あるあみだくじを想像するとこれ以上、線を増やしたいとは思いませんから、これくらいが限界で少しだけ不公平なくじになります。
また、実は内側ですと真下に行く確率よりも少しだけ外側に行く確率が大きくなるため、真下に行く確率が一番大きいわけではありません。つまり、内側の役割を狙う場合は少しだけ外側を選ぶとよいです。ここで直感ともズレが生じます。

ちなみに極端な例で計300本描くとすべての確率の最大10.7%、最小9.3%と理想値との誤差が0.7%くらいになるため、これくらい描くと平等に近いと言えるかもしれませんが、1人30本ずつ描くため、あみだくじを使わない方がバーベキューは楽しめそうです。

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