機能性高分子科学
Polymer Science
担当教員 石井 淳一
選択 | 2単位 | 4年春学期
授業目的
高分子材料は、現在の我々の生活に必要不可欠な材料の1つである。その高分子材料の利用背景を説明し、機能化された高分子について解説する。講義を通じて高分子設計技術が習得できる。
授業内容
実際に利用されている高分子材料を例に挙げ、如何にして緻密で巧みな特性・機能付与を実現させるに至ったかを、高分子の化学構造から説明する。特に本講では実際の高分子サンプルに触れてもらい、機能がどのような仕組みに基づいて発現しているか視覚的、触感的に理解できるように講義を進める。
No.1 1. ガイダンス-高分子とは何か?-
1-1. 高分子の定義。高分子の大きさを考える
1-2. 様々な高分子サンプルを手に取って観察する(一次/二次/高次構造を理解するために)
・NBRゴムパッキン(共重合による改質)
・高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレン、同じポリエチレンなのになぜ特徴が異なる?
・PETボトルの構造設計(結晶化を利用した機械的強度の増強技術)
・なぜポリテトラフルオロエチレン成形体は不透明でポリメタクリル酸メチル成形体は透明なのか?
No.2 2. 高分子溶液の性質
2-1. 溶液中における理想鎖と実在鎖の広がり
2-2. 水に溶ける高分子
・ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール
・水に溶ける高分子を利用した高吸水性高分子(Super Absorbent Polymer)
2-3. 溶解度パラメータ(Solubility Parameter)の考え方と計算方法
No.3 2-4. 接着の化学概論(なぜ接着剤によって物質はくっつくのか?)
・溶解度パラメータと接着
・接着の評価方法
・接着メカニズム(機械的接合説・化学接合説・拡散説・分子間力説)
・分子間力の起源(三つの力と水素結合)
3-1. 高分子の分子量をどのように表現するか(数平均と重量平均分子量)
3-2. 高分子の分子量測定方法(絶対法と相対法)
No.4 3-3. 分子量が機械的特性に与える影響
4. 高分子の固体構造
4-1. 結晶/非晶とは何か
4-2. 結晶領域の分析方法
No.5 4-3. 高分子の固体構造に影響を与える因子とは何か
・ポリプロピレン(PP)の立体構造
・ポリメチルペンテンの特異な特性
・ポリエチレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリ塩化ビニル/ポリメチルペンテン
四つの食品ラップの化学構造とその機能
4-4. フッ素系樹脂の構造とその特異な性質、および応用例
・ポリフッ化ビニリデン(PVdF)の強誘電性とその応用
・ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)誕生の話とその応用
No.6 5. 高分子の熱的性質
5-1. 物理的耐熱性Ⅰ
5-1-1. ガラス転移温度とは何か
5-1-2. ガラス転移温度の測定方法
・熱機械分析(TMA)による測定方法
・示差走査熱量計(DSC)による測定方法
・動的機械分析(DMA)による測定方法
No.7 5-1-3. 耐熱性高分子の分子設計
・融解エンタルピーと融解エントロピー
・Boyer-Beamanの経験則
No.8 5.2. 物理的耐熱性Ⅱ
5-2-1. 熱膨張係数とは何か
・体膨張係数と線熱膨張係数
・Dilatometerと熱機械分析(TMA)による測定方法
5-2-3. 熱膨張係数と化学構造の関係を考える
・ガラスや石英に比べて一般の高分子の熱膨張係数が大きいのはなぜか?
・熱膨張係数の制御因子と低熱膨張性高分子の分子設計
No.9 5-3. 化学的耐熱性
5-3-1. 高分子の熱分解測定
・熱重量-示差熱同時測定(TG-DTA)
・示差熱天秤-質量分析法(TG-DTA-MS)
5-3-2. 高分子の燃焼メカニズムと燃焼性評価方法
・化学結合エネルギーと熱分解の関係
・燃焼性評価方法(限界酸素指数とUL規格)
・熱分解メカニズムと難燃化(ポリエチレンは燃えるのに、なぜポリ塩化ビニルは燃えにくい?)
No.10 6. 高分子の力学的性質
6-1. 化学構造と機械的特性の関係Ⅰ
6-1-1. 弾性体、粘性体、粘弾性体を力学モデル(フォークト・ケルビン模型)から考える
6-1-2. 弾性率とは何か?応力歪曲線から考える
・高弾性繊維(炭素繊維/ザイロン/ケブラー)
・ゴムの弾性率
No.11 6-2. 化学構造と機械的特性の関係Ⅱ
6-2-1. DMAを用いた動的粘弾性測定概論
・貯蔵弾性率と損失弾性率
No.12 6-2-2. ゴムの科学
・跳ねるゴムボールと跳ねないゴムボール(タイヤや免震ゴムの分子設計)
・エネルギー弾性とエントロピー弾性
6-2-3. DMAから分かること
・高分子主鎖や局所的ユニットの運動性
・架橋反応や結晶化
・可塑化に関する情報
・ポリマーブレンドの相溶性や共重合組成
・振動吸収性に関する情報
No.13 6-3. 力学特性と分子鎖配向の関係
6-3-1. 高分子成形による分子鎖配向
・紡糸/カレンダー成形/射出成成形/押出成形
No.14 6-3-2. 分子鎖配向の評価方法
・プローブ法による配向評価
・複屈折による配向評価
6-3-3. 高分子鎖の配向制御
・一軸(延伸)配向、二軸(延伸)配向、自己面内配向
・配向操作による高分子の機能化
No.15 学習到達度の確認
No.1 1. ガイダンス-高分子とは何か?-
1-1. 高分子の定義。高分子の大きさを考える
1-2. 様々な高分子サンプルを手に取って観察する(一次/二次/高次構造を理解するために)
・NBRゴムパッキン(共重合による改質)
・高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレン、同じポリエチレンなのになぜ特徴が異なる?
・PETボトルの構造設計(結晶化を利用した機械的強度の増強技術)
・なぜポリテトラフルオロエチレン成形体は不透明でポリメタクリル酸メチル成形体は透明なのか?
No.2 2. 高分子溶液の性質
2-1. 溶液中における理想鎖と実在鎖の広がり
2-2. 水に溶ける高分子
・ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール
・水に溶ける高分子を利用した高吸水性高分子(Super Absorbent Polymer)
2-3. 溶解度パラメータ(Solubility Parameter)の考え方と計算方法
No.3 2-4. 接着の化学概論(なぜ接着剤によって物質はくっつくのか?)
・溶解度パラメータと接着
・接着の評価方法
・接着メカニズム(機械的接合説・化学接合説・拡散説・分子間力説)
・分子間力の起源(三つの力と水素結合)
3-1. 高分子の分子量をどのように表現するか(数平均と重量平均分子量)
3-2. 高分子の分子量測定方法(絶対法と相対法)
No.4 3-3. 分子量が機械的特性に与える影響
4. 高分子の固体構造
4-1. 結晶/非晶とは何か
4-2. 結晶領域の分析方法
No.5 4-3. 高分子の固体構造に影響を与える因子とは何か
・ポリプロピレン(PP)の立体構造
・ポリメチルペンテンの特異な特性
・ポリエチレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリ塩化ビニル/ポリメチルペンテン
四つの食品ラップの化学構造とその機能
4-4. フッ素系樹脂の構造とその特異な性質、および応用例
・ポリフッ化ビニリデン(PVdF)の強誘電性とその応用
・ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)誕生の話とその応用
No.6 5. 高分子の熱的性質
5-1. 物理的耐熱性Ⅰ
5-1-1. ガラス転移温度とは何か
5-1-2. ガラス転移温度の測定方法
・熱機械分析(TMA)による測定方法
・示差走査熱量計(DSC)による測定方法
・動的機械分析(DMA)による測定方法
No.7 5-1-3. 耐熱性高分子の分子設計
・融解エンタルピーと融解エントロピー
・Boyer-Beamanの経験則
No.8 5.2. 物理的耐熱性Ⅱ
5-2-1. 熱膨張係数とは何か
・体膨張係数と線熱膨張係数
・Dilatometerと熱機械分析(TMA)による測定方法
5-2-3. 熱膨張係数と化学構造の関係を考える
・ガラスや石英に比べて一般の高分子の熱膨張係数が大きいのはなぜか?
・熱膨張係数の制御因子と低熱膨張性高分子の分子設計
No.9 5-3. 化学的耐熱性
5-3-1. 高分子の熱分解測定
・熱重量-示差熱同時測定(TG-DTA)
・示差熱天秤-質量分析法(TG-DTA-MS)
5-3-2. 高分子の燃焼メカニズムと燃焼性評価方法
・化学結合エネルギーと熱分解の関係
・燃焼性評価方法(限界酸素指数とUL規格)
・熱分解メカニズムと難燃化(ポリエチレンは燃えるのに、なぜポリ塩化ビニルは燃えにくい?)
No.10 6. 高分子の力学的性質
6-1. 化学構造と機械的特性の関係Ⅰ
6-1-1. 弾性体、粘性体、粘弾性体を力学モデル(フォークト・ケルビン模型)から考える
6-1-2. 弾性率とは何か?応力歪曲線から考える
・高弾性繊維(炭素繊維/ザイロン/ケブラー)
・ゴムの弾性率
No.11 6-2. 化学構造と機械的特性の関係Ⅱ
6-2-1. DMAを用いた動的粘弾性測定概論
・貯蔵弾性率と損失弾性率
No.12 6-2-2. ゴムの科学
・跳ねるゴムボールと跳ねないゴムボール(タイヤや免震ゴムの分子設計)
・エネルギー弾性とエントロピー弾性
6-2-3. DMAから分かること
・高分子主鎖や局所的ユニットの運動性
・架橋反応や結晶化
・可塑化に関する情報
・ポリマーブレンドの相溶性や共重合組成
・振動吸収性に関する情報
No.13 6-3. 力学特性と分子鎖配向の関係
6-3-1. 高分子成形による分子鎖配向
・紡糸/カレンダー成形/射出成成形/押出成形
No.14 6-3-2. 分子鎖配向の評価方法
・プローブ法による配向評価
・複屈折による配向評価
6-3-3. 高分子鎖の配向制御
・一軸(延伸)配向、二軸(延伸)配向、自己面内配向
・配向操作による高分子の機能化
No.15 学習到達度の確認
関連科目
予め学んでおくとよい科目:機器分析Ⅰ 機器分析Ⅱ 高分子化学
この科目に続く内容の科目:該当なし
この科目に続く内容の科目:該当なし
教科書・参考書
【教科書】
- 使用しない。授業は配布冊子を基に進める。
- 「高分子材料の化学」(井上、宮田著、丸善)
- 「ポリマー材料」(瓜生敏之他著、東京大学出版会)
- 「ポリイミド基礎と応用」(今井、横田編著、NTS出版)
- 「高分子の基礎」(大沢善二郎著、裳華房)
- 「基礎高分子科学」(高分子学会編、東京化学同人)
評価方法
演習問題は次の授業で返却し、解答例を解説もしくは模範解答を配布する。
オフィスアワー
昼休み(12:20~12:50)、木曜2限
その他
必ず事前配布冊子と関数電卓を持参のこと。また、高分子化学教室で卒業研究を行う場合は、本科目を履修することが望ましい。