微生物学
Microbiology
担当教員 安齊 洋次郎
選択 | 2単位 | 3年春学期
授業目的
この講義の目的は、微生物についての基礎知識を習得することである。医学、薬学、農学、生物学など様々な方面から微生物は注目されている。微生物は、その本態が科学的に解明される以前より、食品(酒、パン、チーズなど)の製造に用いられ、一方、疾病の原因として恐れられてきた。人類の将来は微生物を如何に上手に利用し、また、如何にコントロールするかにかかっているともいわれるほどである。微生物を学ぶことは、微生物による環境修復など環境問題に興味をもつ学生にとっても重要である。
授業内容
本講義では、理学部における微生物学としての立場から、まず微生物の生物界における位置づけを明らかにした上で、微生物学の歴史(自然発生説の否定や微生物と疾病など)を概説する。微生物の特徴(特に多様性)、微生物の代謝とその調節、遺伝など基礎的な事項について説明し、ワクチンや化学療法剤の歴史と今日的課題ついて概説する。できれば、微生物の利用の現況と今後についても言及したい。
事前にMoodle上に掲載した講義資料をもとに講義を進める。なお、講義の際には毎回小テストを実施する。
No.1 | 生物界における微生物の位置について、生命の起源、生態系、ヒトとの共生を論点に説明する。 |
No.2 | 原核生物と真核生物の相違について、内部共生説と生物の進化を論点に説明する。 |
No.3 | 自然発生説の否定、病原因子としての微生物などを題材にして、レーウエンフックからパスツール、コッホまでの微生物学の歴史について概説する。 |
No.4 | 培養法、滅菌法、染色法などの実験方法を題材にして、微生物学の方法について概説する。 |
No.5 | 微生物の種類と分類について、微生物(真菌、細菌、ウイルスなど)の系統分類学的な論点で説明する。 |
No.6 | 微生物(真菌、細菌、ウイルス)の細胞・粒子の構造について、構成成分、構造体、小器官などの有無や違いを論点に説明する。 |
No.7 | 細菌、真菌の増殖について、増殖様式や測定方法を論点に説明する。 |
No.8 | 細菌、真菌の増殖について、栄養や環境を論点に説明する。 |
No.9 | 細菌、真菌の代謝について、異化と同化、発酵、呼吸を論点に説明する。 |
No.10 | 細菌、真菌の代謝について、アルコール発酵、窒素代謝を論点に説明する。 |
No.11 | 細菌の代謝調節について、酵素の誘導生産、カタボライトリプレッションを論点に説明する。 |
No.12 | 細菌の遺伝と遺伝子組み換えについて、遺伝情報の水平伝達(形質転換、形質導入、接合)を論点に説明する。 |
No.13 | ウイルスの増殖について、DNAウイルス、RNAウイルスの増殖様式の違いや検出方法を論点に説明する。 |
No.14 | ワクチンと化学療法剤、撲滅された疾病と新興感染症を題材にして、人類と感染症との戦いについて概説する。 |
No.15 | 学期末試験にて学習到達度を確認する。 |
関連科目
予め学んでおくとよい科目:生物化学Ⅰ 生物化学Ⅱ 生物化学実験 生物学
この科目に続く内容の科目:病原微生物学、微生物学実習
この科目に続く内容の科目:病原微生物学、微生物学実習
教科書・参考書
【教科書】
- 「基礎生物学テキストシリーズ4 微生物学」(青木健次編著、化学同人)
- 「微生物学:入門編」(R.Y. スタニエら著、高橋甫ら共訳、培風館)
- 「微生物科学」第1巻~第5巻(柳田友道著、学会出版センター)
- 「Brock微生物学」(M.T.マディガンら著、室伏きみ子、関啓子監訳、オーム社)など
- 「薬科微生物学」第7版(杉田隆、安齊洋次郎編、丸善出版)など
評価方法
学期末試験の成績(80%)と毎回の小テスト(20%)で評価する。
学期末試験実施後、解説を掲示する。
学期末試験実施後、解説を掲示する。
オフィスアワー
月~金 10:00-18:00(薬学部D館5階D-508 微生物学教室)*特に月曜日、金曜日が望ましい
その他
学生へのメッセージ:食中毒や感染症等の微生物に由来する疾病やその他微生物についての新聞報道等に関心を持って接していること。