有機化学I
Organic Chemistry I
担当教員 幅田 揚一
必修 | 2単位 | 1年秋学期
授業目的
自然界を構成する有機化合物の種類は数知れず、また自然界には存在しないが化学者により合成された化合物も数知れない。現在、約一千万種とも言われる有機化合物の多くは人為的に化学反応によって相互に変換できるが、その化学反応の種類も極めて多く、全ての化合物や化学反応を個々に学び理解する事は不可能である。しかし、有機化合物の構成元素が主として、C、H、O、Nなどである点に注目して、各原子の電子状態、化学結合の本質を基本にして、それら有機化合物の構造、反応性や合成法を系統的に学ぶことは比較的容易である。本講義では脂肪族炭化水素を中心にC-H、C=C、C≡C、を含む化合物のIUPAC命名法,性質および反応を中心に系統的に学習する。また,キラル炭素を持つ化合物の立体化学についても学ぶ.
授業内容
教科書として「マクマリー有機化学(上)」を用いて、その3章~9章までを以下の項目に従って講義を行う。
No.1 | 【酸と塩基(1)】 1)形式電荷 2)簡単な共鳴構造式の記述. 3)Bronsted-Lowryの酸・塩基の定義 4)酸と塩基の強さとpKa値 5)Lewisの酸・塩基の定義 |
No.2 | 【アルカンとその立体化学】 1)アルカンの異性体 2)アルカンのIUPAC命名法 3)Newmanの投影式 4)アルカンの配座異性体とエネルギー |
No.3 | 【シクロアルカンとその立体化学(1)】 1)シクロアルカンのIUPAC命名法 2)シクロアルカンのcis-,trans-異性体 3)シクロアルカンの安定性と角ひずみ,ねじれひずみ,立体ひずみ |
No.4 | 【シクロアルカンとその立体化学(2)】 1)シクロヘキサンのアキシアル位とエクアトリアル位 2)1置換シクロヘキサンの立体配座解析 3)2置換シクロヘキサンの立体配座解析 |
No.5 | 四面体中心における立体化学(1)】 1)キラルな化合物とアキラルな化合物 2)化合物の立体的表記 3)比旋光度の計算 4)不斉炭素に対するR-,S-表示 |
No.6 | 【四面体中心における立体化学(2)】 1)ジアステレオマーとメソ化合物 2)ラセミ体の光学分割法 3)構造異性体と立体異性体 4)窒素,リン,硫黄を不斉中心に持つ化合物におけるR-,S-表示 |
No.7 | 【有機反応の概観(1)】 1)有機反応の種類 2)一般的な官能基の名前と構造 3)極性反応とラジカル反応における電子の移動 |
No.8 | 【有機反応の概観(2)】 1)反応の平衡,反応速度,エネルギー変化,結合解離エネルギー,遷移状態,中間体 【アルケン:構造と反応性(1)】 1)アルケンの不飽和度 2)アルケンのIUPAC命名法 |
No.9 | 【アルケン:構造と反応性(2)】 1)アルケンのcis-,trans-異性体 2)置換アルケンのE,Z配置 3)1置換,2置換,3置換,4置換アルケンの安定性 |
No.10 | 【アルケン:構造と反応性(3)】 1)メチル,1級,2級,3級カルボカチオンの安定性 2)Hammondの仮説 3)アルケンの求電子付加反応におけるカルボカチオン中間体の安定性とカルボカチオンの生成速度の関係 3)アルケンの求電子付加反応におけるカルボカチオン転位 |
No.11 | 【アルケン:反応と合成(1)】 1)アルケンの製法 2)アルケンのハロゲン化 3)アルケンのHOXの付加 4)アルケンのオキシ水銀化 |
No.12 | 【アルケン:反応と合成(2)】 1)アルケンのヒドロホウ素化 2)アルケンの水素化 3)アルケンの酸化 4)アルケンへのカルベンの付加 5)アルケンへのラジカル付加 |
No.13 | 【アルキン:有機合成序論(1)】 1)アルキンのIUPAC命名法 2)アルキンの製法 3)アルキンの水和 4)アルキンのヒドロホウ素化-酸化 |
No.14 | 【アルキン:有機合成序論(2)】 1)アルキンの還元 2)アルキンの酸化的開裂 3)アセチリドアニオンのアルキル化 4)有機合成 |
No.15 | 学習到達度の確認 |
関連科目
予め学んでおくとよい科目:一般化学I
この科目に続く内容の科目:
有機化学Ⅱ,有機化学Ⅲ, 有機化学演習Ⅰ,有機化学演習Ⅱ, 構造有機化学,基礎計算有機化学,有機化学反応機構,生物有機化学,有機化学Ⅳ
この科目に続く内容の科目:
有機化学Ⅱ,有機化学Ⅲ, 有機化学演習Ⅰ,有機化学演習Ⅱ, 構造有機化学,基礎計算有機化学,有機化学反応機構,生物有機化学,有機化学Ⅳ
教科書・参考書
【教科書】
- 「マクマリー有機化学(上)」(マクマリー著、東京化学同人)
- 分子構造模型 「HGS分子構造模型 C型セット 有機化学実習用」(丸善雄松堂)
- マクマリー有機化学問題の解き方 英語版(マクマリー著,東京化学同人)
評価方法
毎回実施する復習クイズ(60%),学期末に行われる到達度確認テスト(30%),提出物(10%)によって評価する.
オフィスアワー
幅田 月曜,水曜の午前中,木曜日
その他
教科書として「マクマリー有機化学(上)」を用いて、その3章~9章までを以下の項目に従って講義を行う。
授業開始までに教科書と分子模型を用意しておくこと。
授業開始までに教科書と分子模型を用意しておくこと。