理学部

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永田研究室

研究内容

死細胞の運命
生体内では様々な細胞が常に派生・分化もしくは細胞分裂し、次々と新たな細胞を産み出しています。またその一方で、それぞれの役目を終えた細胞や寿命を迎えた細胞は、アポトーシスに陥ります。このようなアポトーシス細胞は、マクロファージや樹状細胞などの貪食細胞により貪食除去されることによって生体内に蓄積されないように制御されています。この貪食除去は、アポトーシス細胞が生体内に出現すると直ちに行われており、アポトーシス細胞は二次的ネクローシス(後述)に陥ることなく、速やかに除去されています。アポトーシス細胞を生体に悪影響を及ぼすことなく何事もなく処理するこのメカニズムは、「silent clearance」と呼ばれ、一見、何の変哲もないこの営みは、生体の恒常性の維持に欠かせない重要な自然免疫システムの一つです。
死細胞の蓄積は、万病の元
一方、この「silent clearance」に破綻が生じると、アポトーシス細胞は生体内に残存してしまい、残存したアポトーシス細胞は、二次的にネクローシスに陥ってしまいます。ネクローシスに陥った細胞は、細胞膜の破壊に伴いDAMPsと呼ばれる分子群を含む細胞内容物を放出します。このDAMPsは、様々な細胞に働きかけ、炎症を引き起こすきっかけとなり、この炎症が多くの疾病の治癒遅延や悪化、さらには自己免疫疾患の原因になると考えられています。
健康に老いるために
最近私たちは、年をとった動物のマクロファージは、若い動物に比べてアポトーシス細胞を貪食する能力が低くなっていること、また老化した動物では、多くのアポトーシス細胞が生体内に残存し、ネクローシス細胞へと変化していることを明らかにしました。この研究成果は、年をとると死細胞に対する脅威に晒されやすいことを意味しています。この結果を受けて、私たちは、{1}老化するとなぜマクロファージの貪食能が低下するのか、{2}ネクローシス細胞により誘発される炎症を制御出来ないかについて研究を展開しており、自然免疫と老化との関わりを明らかにするとともに、健康に老いるためのヒントを模索しています。

所属教員

永田 喜三郎/教授

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