理学部生物分子科学科

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異性体 (isomer)

 同じ分子式を持ちながら、構造の異なる化合物を異性体とよぶ。有機化合物の異性体は、さらに構造異性体と立体異性体に分類することができる。
 分子内の原子の結合の順序が異なる分子は、構造異性体とよばれる。炭素骨格の枝分かれの異なるアルカン(例を下図に示す)や、同じ分子式のアルコールとエーテルなどがこれにあたる。
 原子の結合順序は同じだが、立体的な原子の配置が異なるために重ね合わせることができない分子どうしは立体異性体とよばれる。アルケンや環状炭化水素は炭素−炭素結合まわりの回転がおこらないために、立体異性体を生じる。また、一つの炭素原子に4つの異なる原子(団)が結合している場合(これを不斉炭素原子という)は、一対の鏡像異性体が生じる(例を下図に示す)。これは、右手を鏡に映すと左手の形となるが、右手と左手を重ね合わせることができないのと同じ関係である。不斉炭素原子をもたない分子でも鏡像異性体がある場合もある。例えば、構造式が全く同じで、分子全体がらせん構造をとる分子の場合、右巻きらせんと左巻きらせんの分子は互いに鏡像異性体の関係にある。
異性体
図左の2つの化合物:分子式が同じで炭素の結合の順番が違う構造異性体の例
図右の2つの化合物:鏡像異性体の例(メチル基は紙面から手前に、塩素は紙面から奥に結合がのびている)

 生体を構成する有機分子の多くは不斉炭素原子を持つ。例えばグリシン以外のアミノ酸(α−アミノ酸)は不斉炭素原子を持つため、アミノ酸が連なってできるタンパク質には非常に多くの立体異性体が考えられる。しかし、生体内で使われているアミノ酸は、鏡像異性体の関係にある一対のアミノ酸のうち片方のみであるため、タンパク質全体としてもただ一つの立体をとる。生体が「片方の立体」の化合物で成り立っているため、有機化合物の生体への作用も立体異性体の間で異なることが多い。例えば薬として使われる有機化合物には不斉炭素原子を持つものも多いが、どちらの立体の化合物を用いるかは重要となる。極端な場合は、片方の立体の化合物は薬となるが、もう一方の立体の化合物は毒になることもある。

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