エステル (ester)
エステルは溶剤(ノンアセトンタイプの除光液の主成分は酢酸エチル)やプラスチックとして用いられるため、身近な存在である。ポリエステル繊維やペットボトルのPET(ポリエチレンテレフタラート;テレフタル酸とエチレングリコールがエステル結合で重合したもの)はポリエステルの一種である。天然由来のエステルも多く知られており、ミツバチが作る蜜蝋やクジラから取れるロウはエステルが主成分で、ろうそくやワックス、潤滑油などに利用される。アルコール部分がグリセリンであるエステルは油脂と呼ばれ、脂肪はこれにあたる。
低分子量のエステルは芳香のある化合物であることが多く、植物の精油中に含まれているものもある。人工果実エッセンスとしてもエステルが使われており、例えば酢酸イソアミル、酢酸ベンジル、イソ吉草酸イソアミルはそれぞれバナナ、ジャスミン、リンゴ様の芳香がある。
ちなみに、これらエステルの構成成分である酢酸、酪酸、イソ吉草酸などの炭素数の少ないカルボン酸は悪臭を持つことが知られている。
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