緩衝溶液 (または緩衝液;buffer)
外から少量の酸や塩基を加えても,また,希釈して濃度を変えても,その影響を緩和してpH(水素イオン指数)をほぼ一定に保つはたらき(緩衝作用)をもつ水溶液を緩衝溶液という。一般に,酸性の緩衝溶液は弱酸とその塩の混合水溶液,塩基性の緩衝溶液は弱塩基とその塩の混合水溶液が用いられる。ヒトの血液は炭酸イオン(CO32-)と炭酸水素イオン(HCO3-)による緩衝作用でpH 7.4に保たれている。細胞内は,リン酸水素イオン(HPO42-)とリン酸二水素イオン(H2PO4-)でpH 6.9になっている。実験室では,酵素反応,細胞や微生物の培養等,pHの変動を最小限に抑える必要がある実験に用いられている。また,スポーツドリンクにも緩衝作用がある。
緩衝溶液の例
緩衝溶液 | 構成成分 | 用いるpH範囲 |
酢酸緩衝液 | CH3COOHとCH3COONa | 3.2-6.2 |
リン酸緩衝液 | NaH2PO4とNa2HPO4 | 5.2-8.3 |
塩化アンモニウム緩衝液 | NH3とNH4Cl | 8.0-11.0 |
実験室から:
DNAやRNAの保存には通常TE緩衝液を用いる。TE緩衝液*に含まれるEDTAは2価の金属イオンのキレート剤で,Mg2+イオンに結合して,核酸分解酵素(DNase)の働きを弱める効果がある。また,pHを弱アルカリ性にしておくことで(RNA用にはpH 7.4,DNA用にはpH 8.0),DNAやRNAの沈殿と分解を防ぐはたらきもある。
*TE緩衝液:トリス緩衝液(トリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタン)にEDTAを加えたもの
DNAやRNAの保存には通常TE緩衝液を用いる。TE緩衝液*に含まれるEDTAは2価の金属イオンのキレート剤で,Mg2+イオンに結合して,核酸分解酵素(DNase)の働きを弱める効果がある。また,pHを弱アルカリ性にしておくことで(RNA用にはpH 7.4,DNA用にはpH 8.0),DNAやRNAの沈殿と分解を防ぐはたらきもある。
*TE緩衝液:トリス緩衝液(トリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタン)にEDTAを加えたもの
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