理学部生物分子科学科

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性決定のしくみ (sex determination)

 性決定のしくみは生物群によって大きく異なる。ほ乳類や鳥類は性染色体構成の違いが性を決定するが、は虫類の一部などには発生中の温度環境などによって性が決定される種もいる。

 性染色体の組合わせで性が決定されるものとしては、多くのほ乳類(ヒトなど)に見られる雄ヘテロ接合型(XYで雄、XXで雌)、多くの鳥類(ニワトリなど)に見られる雌ヘテロ接合型(ZWで雌、ZZで雄)、また節足動物のイナゴなどに見られる雄ヘミ接合型(XXで雌、Xで雄)、スグリエダシャク(ガの一種)などにみられる雌ヘミ接合型(Zで雌、ZZで雄)に分けられる。

 ここでは遺伝的な性決定について、特にヒトについて説明する。ヒトは性染色体がXXで女性、XYで男性となるが、Xが2本あることで女性となるのであろうか、それともYがあれば男性となるのであろうか。クラインフェルター症候群という染色体異常症候群があり、この患者の性染色体は一本多いXXYである(染色体総数は47本)。クラインフェルター症候群患者の身体的な特徴は男性である。一方、ターナー症候群という染色体異常症候群があり、この患者の性染色体はXが1本しか持っていない(染色体総数は45本)。ターナー症候群患者は身体的には女性を示す。つまり、Xが2本あってもYがあれば男性であり、Xが1本しかなくてもYを持たなければ女性であることがわかる。すなわちヒトは基本的に女性であり、Yは男性化をする染色体と言える。ヒトのX染色体の大きさはYに比べて非常に大きく、生命活動に必要な遺伝子を多く含むが、Yに個体の生命活動に必須な遺伝子は存在しない(女性はYを持たないが、個体の維持には何の問題もない)。

 男性化するにはY染色体の全ての部分が必要かというと、実はそうではない。染色体がXXなのに男性である人がごくまれに存在する。詳しく調べた結果、この人はY染色体の一部分がX染色体に移って(転座して)しまっている人であり、特にY染色体のSRYという領域がXに移ったために男性となったことが解った。実験的に、マウスにSRY領域を導入してトランスジェニックマウスを作成したところ、染色体はXXであるのにオスとなったことからも、SRY領域が男性化をする遺伝子を含んでいることが明らかとなった。このSRY領域から発現する遺伝子はDNA結合タンパク質であり、男性化を引き起こすための多くの遺伝子の発現を調節していることが解っている。

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