iPS細胞 (iPS cell (induced pluripotent stem cell))
iPS細胞は、人工多能性幹細胞または、誘導多能性幹細胞ともいわれ、皮膚などの細胞に数種類の遺伝子を導入して脱分化を誘導することでES細胞に似た様々な細胞に分化できる能力(多能性)をもつようになった細胞のこと。我々の身体は、もともとは受精卵という1つの細胞であるが、成体は約300種類の細胞から作られている。皮膚の細胞が分裂すると2つの皮膚の細胞になり、肝臓の細胞が分裂すると2つの肝臓の細胞になるが、皮膚の細胞が神経細胞などに変化することはない。しかし、受精後間もない細胞のように、あらゆる細胞に分化できる能力(全能性)をもったままシャーレの中で培養し続けることができるようにしたES細胞(胚性幹細胞)と似た性質の細胞を、皮膚の細胞などから人工的に作り出したものがiPS細胞(誘導型多能性幹細胞)である。患者さんの皮膚の細胞から様々な細胞を作り出せるので、ES細胞で問題となっていた拒絶反応や倫理面の問題がクリアされており、再生医療の本命として世界中が注目している。
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