理学部生物分子科学科

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ショウジョウバエ (fruit fly)

 代表的なモデル生物。世代時間が短い(受精卵が10日で成虫になる)、飼育が安価で容易である、さまざまな変異体を作り出して安定に維持できる、などの実験をしやすい便利な特徴を備えているため、生物学の研究によく用いられている。

 ショウジョウバエは赤い複眼を持つが、1910年にT. H. Morganは白い眼の突然変異ショウジョウバエを発見した。その後、Morganと彼の弟子たちは白眼およびその他の突然変異体を用いた研究から、古典遺伝学の基礎となる多くの重要なことを明らかにした。たとえば、遺伝子が染色体上に乗っていることを明らかにし、この功績によってMorganは1933年にノーベル賞を受賞した。その後、ショウジョウバエは多くの研究者によって生物学の研究に用いられてきており、現在でも最先端の生物学・基礎医学研究に広く用いられている。

 ショウジョウバエを用いた研究においては、さまざまな変異体を作製してそれらを詳しく解析することによって、個々の遺伝子のはたらきや相互作用を調べていくことができる。ひとつの例が発生の研究である。一個の受精卵が細胞分裂を繰り返しながら生物の形をつくっていく過程のことを発生という。発生は外見上非常に複雑な現象であるが、実は特定の遺伝子のはたらきとしてその原理を説明することができる。ショウジョウバエを用いた研究によって、発生をコントロールする遺伝子のはたらきについて多くの重要なことが明らかにされてきた。1995年には、初期発生を制御する遺伝プログラムを解明した功績に対し、3名のショウジョウバエ研究者(E. B. Lewis, C. Nüsslein-Vorhart, E. Wiechaus)がノーベル賞を受賞した。発生の遺伝プログラムを含め、ショウジョウバエで明らかになったことの多くは、ヒトを含む多くの生物で共通であることがこれまでにわかっている。最近では、ヒトのさまざまな病気の発症機構などを研究するためのモデルとして、ショウジョウバエがさかんに用いられている。特に、神経変性疾患(脳の神経細胞が徐々に死んでいく病気、アルツハイマー病など)の研究においてはショウジョウバエを用いた実験が広く研究に用いられている。

 なお、ショウジョウバエにはさまざまな種があるが、モデル生物としてよく用いられているのはキイロショウジョウバエ(学名 Drosophila melanogaster)である。

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