生物無機化学
生物を作っているのは主にタンパク質、核酸、多糖、脂質で、これらは炭素、酸素、水素、窒素、リン、硫黄を含む有機化合物です。例えばヒトでは、これらの6種類の元素と骨の主要成分であるカルシウムを合わせると、体内存在量の98.8%*になります。
しかし、この講義の主役は残りの1.2%です。ナトリウム、カリウム、塩素、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛など17種類の元素が、単原子イオンや多原子イオン、錯イオン、無機化合物として、生体内でそれぞれ特有の働きをしています。例えばナトリウムイオンは主に細胞外、カリウムイオンは細胞内に存在していますが、この選択性はイオン半径の違いによる細胞膜透過性の差によって説明できます。また、ヘモグロビンに含まれる鉄を亜鉛で置き換えると酸素運搬機能が失われますが、これは主に酸化還元電位の違いによるものです。亜鉛はさまざまな酵素に含まれていますが、その酸性の強さが多くの生体内反応をコントロールしています。溶解度や電荷の大きさ、化学結合の種類も生物の機能を知る上で重要な性質です。
この講義では、これらの微量元素・超微量元素の生体内における役割を、それぞれの元素の化学的性質と関連付けて学びます。
しかし、この講義の主役は残りの1.2%です。ナトリウム、カリウム、塩素、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛など17種類の元素が、単原子イオンや多原子イオン、錯イオン、無機化合物として、生体内でそれぞれ特有の働きをしています。例えばナトリウムイオンは主に細胞外、カリウムイオンは細胞内に存在していますが、この選択性はイオン半径の違いによる細胞膜透過性の差によって説明できます。また、ヘモグロビンに含まれる鉄を亜鉛で置き換えると酸素運搬機能が失われますが、これは主に酸化還元電位の違いによるものです。亜鉛はさまざまな酵素に含まれていますが、その酸性の強さが多くの生体内反応をコントロールしています。溶解度や電荷の大きさ、化学結合の種類も生物の機能を知る上で重要な性質です。
この講義では、これらの微量元素・超微量元素の生体内における役割を、それぞれの元素の化学的性質と関連付けて学びます。
* 桜井弘「薬学のための無機化学」化学同人 表4.1より