光で作動する抗がん剤の研究が論文誌のBack Coverに採用されました
古田研究室で発表した光作動性プロドラッグの研究論文が英国王立化学会の論文誌Chemical CommunicationsのBack Coverを飾りました。
プロドラッグ(prodrug)とは,生体内で代謝されて初めて薬効を発揮する薬剤前駆体のことです。薬剤の副作用を抑えるためのドラッグデリバリーシステム(DDS)の一種と見なすことができます。古田研究室では,光ではたらくスイッチ付き分子(ケージド化合物)を有機化合物で設計・合成して,細胞の生理機能を自在に制御する技術を開発してきました。この技術を抗がん剤であるタキソール(パクリタキセル)のプロドラッグ化に応用したのが本論文です。合成したタキソールのプロドラッグは,生体内の代謝によらず,光照射した細胞内だけでその薬効を発揮することが期待できます。光作動性プロドラッグに,用途に合わせて特定の細胞へのターゲティング能や水溶性などの性質を容易に付け加えられるようにしたのが今回の研究です。
A clickable caging group as a new platform for modular caged compounds with improved photochemical properties
Akinobu Z. Suzuki, Ryota Sekine, Shiori Takeda, Ryosuke Aikawa, Yukiko Shiraishi, Tomomi Hamaguchi, Hiroyuki Okuno, Hirokazu Tamamura and Toshiaki Furuta
Chem. Commun., 2019, 55, 451. doi: 10.1039/C8CC07981A