第19回 生物分子科学賞の授賞式と講演会が行われました

生物分子科学賞は1995年より、学科の発展に資するため生命科学を中心とする分野での功績に対して授与されています。今年度は、ちょうど1995年卒業の堀内貴之さん(株式会社ちとせ研究所・取締役・最高技術責任者)が「ベンチャー企業における細胞育種の基礎研究および実用化」が「卒業生による生命科学に関する研究、及び社会活動」に該当するとして受賞されました。

渡辺学科主任からの紹介、髙橋理学部長からの賞状授与に引き続き、堀内さんに受賞講演を行っていただきました。初めに、ちとせ研究所の独自技術である不均衡変異導入法について、DNA複製に関わる酵素の変異サブユニットを一過性に発現させる、または、複製酵素に特異的にはたらく薬剤を使用することにより細胞の生存率をほとんど下げることなく高い効率で突然変異を導入することができるという説明がありました。続いてジェットエンジンの燃料を作る藻類の育種、抗体医薬を作る動物培養細胞の育種の実例をお話しくださいました。さらに、質疑応答のあと、大学院在学中に思い切ってアメリカに留学したときのこと、ベンチャー企業への入社を決心されたときのことなど率直な体験談をしてくださいました。

生物分子科学科の学生、教員にとって分子生物学の教科書的な知見がビジネスに応用されている実例を聞くことができてひときわ新鮮な経験だったと思います。