理学部生物学科

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習志野キャンパスの四季 夏の鳥たち

 習志野キャンパスではセミが鳴きはじめました。いよいよ夏本番です。

 今年の入試はAO入試 I 期から始まります。暑いさなかの清涼剤に、キャンパス周辺の林や谷津干潟に見られる夏鳥たちを紹介します。少し足を止めて、鳥たちの鳴き声にも耳を澄ませてみませんか。 (四季係)

キビタキとオオルリ

 「夏鳥」は春に東南アジアから飛来して、秋には帰っていく渡り鳥です。夏鳥の代表は色鮮やかなキビタキとオオルリでしょう。キビタキ(黄鶲)のオスは黄色のアイラインと、喉から腹部にかけた橙から黄色のグラデーションが特徴です(写真1左)。明るい広葉樹林で繁殖し、開けた林の木の幹に近い枝にとまって明るいきれいな声で鳴きます。ツクツクボウシのような鳴き声や、「一寸来い、一寸来い」と鳴くこともあります。山の中で「一寸来い」と聞こえたら、キビタキが呼んでいるのかも知れません。

この特徴のある鳥の鳴き声を「囀り」(bird song)と言います。繁殖期のオスの求愛や縄張りのソングです。一方、これとは別に「地鳴き」があります。「ジュンジュン」といった地味な鳴き声です。鳥の「囀り」は生まれつきか、親鳥から教わるのか、なぜ繁殖期だけなのか。われわれの脳のはたらきを理解するための重要な手掛として、今盛んに研究されています。
キビタキ(左)とオオルリ(右)
写真1 キビタキ(左)とオオルリ(右)
 オオルリ(大瑠璃)のオスは名前のように鮮やかな瑠璃色(るりいろ 青色)の背部と白い腹部が特徴です(写真1右)。メーテルリンクの「青い鳥」はこれかも知れません。オオルリは「ピチピチ ピーピー」と澄んだきれいな囀りなので、ウグイスやコマドリと並んで「日本三鳴鳥」と呼ばれています。谷沿いのよく茂った林で繁殖をして、木の梢でさえずり、谷の間をよく飛び交っています。

 この2種の鳥のメスは地味な色(褐色)をしているので見つけにくいでしょう。キビタキとオオルリは山などへ行かないと会えませんが、春秋の渡りの時期には市街地の木々の茂った公園でも見ることができます。昨年秋に習志野キャンパスの大きな木々の間にキビタキを見つけました。東南アジアに渡る前に一休みをしていたのでしょう。

アカショウビンとコムクドリ

 アカショウビン(赤翡翠)の背部は朱色、腰は瑠璃色と赤色の長いくちばしが特徴です(写真2左)。日本に見られるカワセミ科は3種で、カワセミ、ヤマセミ、そして東南アジから飛来する夏鳥のアカショウビンです。山地の落葉広葉樹林で繁殖をして、カワセミと同じように水中の魚を狙いますが、陸上のトカゲも獲ります。ここ数年は飛来数が減っているので、バーダー(birder 野鳥観察者)のあこがれの鳥です。オスは「キョロロロ...」という明るい声で鳴き、「ロロロ...」のところで尾羽を振るわせます。この鳥を探しに山奥に入ると、他の野鳥をたくさん見ることができます。
アカショウビン(左)とコムクドリ(右)
写真2 アカショウビン(左)とコムクドリ(右)
 夏鳥のコムクドリ(小椋鳥)は学名Sturnus philippensisの通りに、フィリピン・ボルネオから飛来します(写真2右)。この鳥は頭部が白く、羽の縁が光沢のある緑色です。ムクドリの一種なので鳴き声はあまりきれいではありません。明るい落葉広葉樹林で繁殖をし、樹洞やキツツキの古巣を使って子育てをやります。時には、子育て中のキツツキの巣を奪うこともありますが、巣に残っていたヒナを育てたという報告もあります。鳥の子育て本能は、種の違うヒナでも育てることがあるのですね。コムクドリは春秋の渡りの時期には市街地のムクドリの群れに混じっていることがあります。ちょうどこの時期には谷津干潟の周りに飛来しています。双眼鏡を手に観察に出かけてみませんか。

(本文と写真 佐藤俊介 学部3年)

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