プレスリリース 発行No.1585 令和8年2月24日
ニホンウナギの成長、性成熟、代謝、ストレス応答に関わる
6種類の下垂体ホルモンmRNAの可視化に成功
~ 天然ウナギの資源評価、養殖ウナギの品質管理に期待 ~
6種類の下垂体ホルモンmRNAの可視化に成功
~ 天然ウナギの資源評価、養殖ウナギの品質管理に期待 ~
東邦大学および東京大学の研究グループは、ニホンウナギの成長、性成熟、代謝、ストレス応答を制御する内分泌系の中枢的役割を担う下垂体において、これらの生理機能に関与する6種類のホルモンmRNA を同一組織内で可視化することに成功しました。
本研究成果は、2026年2月6日に国際学術誌「General and Comparative Endocrinology」に掲載されました。
本研究は、東邦大学理学部の渡邊大起大学院生、塚田岳大准教授、宮原杏奈(研究当時、学部生)、吉田彩舟講師、同医学部の恒岡洋右准教授、ならびに東京大学大気海洋研究所の黄國成助教らとの共同研究によるものです。
本研究成果は、2026年2月6日に国際学術誌「General and Comparative Endocrinology」に掲載されました。
本研究は、東邦大学理学部の渡邊大起大学院生、塚田岳大准教授、宮原杏奈(研究当時、学部生)、吉田彩舟講師、同医学部の恒岡洋右准教授、ならびに東京大学大気海洋研究所の黄國成助教らとの共同研究によるものです。
発表者名
渡邊 大起(東邦大学大学院理学研究科生物分子科学専攻 博士前期課程1年)
塚田 岳大(東邦大学理学部生物分子科学科 准教授)
宮原 杏奈(研究当時:東邦大学理学部生物分子科学科4年)
吉田 彩舟(東邦大学理学部生物分子科学科 講師)
恒岡 洋右(東邦大学医学部解剖学講座微細形態学分野 准教授)
黄國 成(東京大学大気海洋研究所 助教)
塚田 岳大(東邦大学理学部生物分子科学科 准教授)
宮原 杏奈(研究当時:東邦大学理学部生物分子科学科4年)
吉田 彩舟(東邦大学理学部生物分子科学科 講師)
恒岡 洋右(東邦大学医学部解剖学講座微細形態学分野 准教授)
黄國 成(東京大学大気海洋研究所 助教)
発表のポイント
- ニホンウナギの下垂体において、6種類のホルモンmRNA(heteronuclear RNA:hnRNA(注1))を同一組織内で同時に可視化しました。
- 成長や性成熟に関与する性腺刺激ホルモンである黄体形成ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)のmRNAの空間的分布を明らかにしました。
- ウナギ下垂体において、黄体形成ホルモン(LH)遺伝子の核内未成熟mRNAの検出 に成功しました。
発表概要
下垂体は、成長ホルモン(GH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、プロラクチン(PRL)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の6種類のホルモンを分泌する組織であり、内分泌系の中枢的な役割を担っています。これらのホルモンは、成長、性成熟、代謝、ストレス応答などに関与し、体内の生理状態や成熟段階を反映する重要な内分泌指標です。
これまで、ラジオイムノアッセイやELISA法によるホルモン濃度の測定、ならびに定量PCR(qPCR)法による遺伝子発現量の定量が行われてきました。しかし、組織内におけるmRNAの空間的分布を把握することや、複数のホルモンmRNAの発現を同一組織内で同時に可視化することは困難でした。
本研究では、東邦大学医学部の恒岡洋右准教授が開発した多重mRNA検出法である in situ hybridization chain reaction(isHCR)(注2)と、消光装置(TiYO(注3))を組み合わせることで、ニホンウナギの下垂体に発現する6種類のホルモンmRNAを同一組織内で高感度かつ同時に可視化することに成功しました。
本技術により、天然ウナギおよび養殖ウナギにおける成長状態、性成熟、代謝、ストレス応答を分子レベルで一括して評価することが可能となります。これにより、天然ウナギ資源の科学的評価や、養殖ウナギの品質管理・改良への大きな貢献が期待されます。
これまで、ラジオイムノアッセイやELISA法によるホルモン濃度の測定、ならびに定量PCR(qPCR)法による遺伝子発現量の定量が行われてきました。しかし、組織内におけるmRNAの空間的分布を把握することや、複数のホルモンmRNAの発現を同一組織内で同時に可視化することは困難でした。
本研究では、東邦大学医学部の恒岡洋右准教授が開発した多重mRNA検出法である in situ hybridization chain reaction(isHCR)(注2)と、消光装置(TiYO(注3))を組み合わせることで、ニホンウナギの下垂体に発現する6種類のホルモンmRNAを同一組織内で高感度かつ同時に可視化することに成功しました。
本技術により、天然ウナギおよび養殖ウナギにおける成長状態、性成熟、代謝、ストレス応答を分子レベルで一括して評価することが可能となります。これにより、天然ウナギ資源の科学的評価や、養殖ウナギの品質管理・改良への大きな貢献が期待されます。
発表内容
isHCRとTiYOを用いた6種類の下垂体ホルモンmRNAの同時検出
本研究では、isHCR法と消光装置TiYOを組み合わせることで、ニホンウナギの下垂体に発現する6 種類のホルモンmRNA(GH、LHβ、FSHβ、PRL、POMC(注4)、TSHβ)を、組織切片およびホールマウント(注5)下垂体組織の双方において高感度かつ同時に可視化することに成功しました。これにより、下垂体内における複数のホルモン遺伝子発現の空間的配置を、二次元および三次元的に解析することが可能となりました。
性腺刺激ホルモン産生細胞におけるLHβ・FSHβ mRNAの共局在と未成熟LHβ mRNAの核内検出
これまで、魚類では別々の細胞が産生すると考えられてきた2種類の性腺刺激ホルモン(LHとFSH)が、未成熟のウナギの下垂体組織で、同一のホルモン産生細胞に共局在することを明らかにしました。この局在様式は哺乳類と共通しており、魚類下垂体内分泌制御の再解釈を示す重要な知見です。さらには、LHβ鎖のmRNAを初めて検出し、それによりLHβの転写段階での制御機構の存在が示唆されました。
プロラクチンmRNA蛍光強度測定による半定量解析への応用可能性
淡水適応ホルモンであるプロラクチン(PRL)mRNAについて、蛍光シグナル強度を定量的に評価することで、isHCR法が半定量解析にも応用可能であることを実証しました。本技術は、単なる「発現の可視化」にとどまらず、複数のホルモン遺伝子発現レベルの比較解析にも利用できることを示しています。
本研究では、isHCR法と消光装置TiYOを組み合わせることで、ニホンウナギの下垂体に発現する6 種類のホルモンmRNA(GH、LHβ、FSHβ、PRL、POMC(注4)、TSHβ)を、組織切片およびホールマウント(注5)下垂体組織の双方において高感度かつ同時に可視化することに成功しました。これにより、下垂体内における複数のホルモン遺伝子発現の空間的配置を、二次元および三次元的に解析することが可能となりました。
性腺刺激ホルモン産生細胞におけるLHβ・FSHβ mRNAの共局在と未成熟LHβ mRNAの核内検出
これまで、魚類では別々の細胞が産生すると考えられてきた2種類の性腺刺激ホルモン(LHとFSH)が、未成熟のウナギの下垂体組織で、同一のホルモン産生細胞に共局在することを明らかにしました。この局在様式は哺乳類と共通しており、魚類下垂体内分泌制御の再解釈を示す重要な知見です。さらには、LHβ鎖のmRNAを初めて検出し、それによりLHβの転写段階での制御機構の存在が示唆されました。
プロラクチンmRNA蛍光強度測定による半定量解析への応用可能性
淡水適応ホルモンであるプロラクチン(PRL)mRNAについて、蛍光シグナル強度を定量的に評価することで、isHCR法が半定量解析にも応用可能であることを実証しました。本技術は、単なる「発現の可視化」にとどまらず、複数のホルモン遺伝子発現レベルの比較解析にも利用できることを示しています。
発表雑誌
雑誌名
「General and Comparative Endocrinology」(2026年2月6日)
論文タイトル
Multiplex in situ hybridization chain reaction reveals the spatial organization of six pituitary hormone mRNAs in the Japanese eel
著者
Taiki Watanabe, Marty Kwok-Shing Wong, Anna Miyahara, Saishu Yoshida, Yousuke Tsuneoka, Takehiro Tsukada
DOI番号
10.1016/j.ygcen.2026.114899
論文URL
https://doi.org/10.1016/j.ygcen.2026.114899
「General and Comparative Endocrinology」(2026年2月6日)
論文タイトル
Multiplex in situ hybridization chain reaction reveals the spatial organization of six pituitary hormone mRNAs in the Japanese eel
著者
Taiki Watanabe, Marty Kwok-Shing Wong, Anna Miyahara, Saishu Yoshida, Yousuke Tsuneoka, Takehiro Tsukada
DOI番号
10.1016/j.ygcen.2026.114899
論文URL
https://doi.org/10.1016/j.ygcen.2026.114899
用語解説
(注1)heteronuclear RNA(hnRNA)
転写直後に核内に存在する未成熟なmRNA前駆体。
(注2)in situ hybridization chain reaction(isHCR)
特定のmRNA分子を標識して、可視化する技術。
(注3)TiYO
組織標本上での蛍光を消光するLED式蛍光消光装置。
(注4)POMC
プロオピオメラノコルチン。ACTHなど複数のホルモンのもとになる前駆体タンパク質。
(注5)ホールマウント
組織を切らずに、そのままの形で観察する方法。
転写直後に核内に存在する未成熟なmRNA前駆体。
(注2)in situ hybridization chain reaction(isHCR)
特定のmRNA分子を標識して、可視化する技術。
(注3)TiYO
組織標本上での蛍光を消光するLED式蛍光消光装置。
(注4)POMC
プロオピオメラノコルチン。ACTHなど複数のホルモンのもとになる前駆体タンパク質。
(注5)ホールマウント
組織を切らずに、そのままの形で観察する方法。
添付資料
ホルモン産生細胞は下垂体組織内でクラスター状に分布している。
6種類のホルモンmRNAの三次元的分布を可視化。
以上
お問い合わせ先
【本発表資料のお問い合わせ先】
東邦大学理学部生物分子科学科
准教授 塚田 岳大
〒274-8510 船橋市三山2-2-1
TEL: 047-472-1714
E-mail: takehirotsukada[@]sci.toho-u.ac.jp
URL: https://www.lab.toho-u.ac.jp/sci/biomol/tsukada/index.html
※E-mailはアドレスの[@]を@に替えてお送り下さい。
【本ニュースリリースの発信元】
学校法人東邦大学 法人本部経営企画部
〒143-8540 大田区大森西5-21-16
TEL: 03-5763-6583 FAX: 03-3768-0660
E-mail: press[@]toho-u.ac.jp
URL: www.toho-u.ac.jp
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