プレスリリース

メニュー

プレスリリース 発行No.1515 令和7年7月7日

薬局薬剤師に比べて病院薬剤師の初任給(月給)は約4万円低い
~ 薬学部6年制移行への対処で格差拡大・初任給格差改善が急務 ~

 東邦大学薬学部の平賀秀明講師らの研究グループは、薬局及び病院からの求人情報を基に調査し、調査対象期間の初年度である2001年度以降、薬局薬剤師と病院薬剤師の初任給(月給)の格差は拡大し、薬学部6年制移行後の2011年度以降の初任給の差額は4万円台で推移していることを明らかにしました。これにより、薬学生の進路選択のみならず、薬剤師の人材確保のための給与水準の改善に関する議論などへ貢献することが期待されます。
 
 この研究成果は2025年5月31日に雑誌「医薬品情報学」にて発表されました。

発表者名

平賀 秀明(東邦大学薬学部社会薬学研究室 講師)
若菜 真依(東邦大学薬学部 2024年度卒)
植草 秀介(東邦大学薬学部臨床薬学研究室 講師)

発表のポイント

  • 過去20年間の薬局薬剤師と病院薬剤師の初任給(月給)の動向とその格差を調査しました。
  • その結果、薬学部6年制移行前に格差は拡大し、近年の初任給の差は約4万円であることが明らかとなりました。
  • 薬学生の進路選択のみならず、薬剤師の人材確保のための給与水準の改善に関する議論などへ貢献することが期待されます。

発表内容

 近年、特に病院薬剤師不足が深刻な社会問題となっています。薬剤師の初任給は薬学生の進路選択にあたって重要な要素となっていますが、薬局薬剤師や病院薬剤師の初任給(月給)の動向やその格差に関する詳細な報告は見当たりません。そこで研究グループは、2001~2020年度に東邦大学薬学部に寄せられた求人情報(薬局:4,319件、病院:8,875件)からドラッグストアを除く薬局・病院薬剤師の初任給を調査しました。

 2001~2020年度における薬局薬剤師と病院薬剤師の平均初任給は、それぞれ273,280円及び230,414円であり、厚生労働省が公表している賃金構造基本統計調査から得られた薬剤師の平均給与(月給)は336,980円でした(図1)。薬局薬剤師の2001年度における平均初任給は248,734円、2011年度は273,261円、2020年度は289,431円であり、薬学部6年制移行後の2011年度を基準とすると2020年度の初任給は1.06倍に増加していました。病院薬剤師の2001年度における平均初任給は221,048円、2011年度は228,915円、2020年度は247,844円であり、2011年度を基準とすると2020年度の初任給は1.08倍に増加していました。
 また、2001年度の薬局薬剤師と病院薬剤師の平均初任給の差額は27,687円であり、この時点で薬局薬剤師の初任給の方が高額でしたが、その後初任給の差額は拡大し、最も差額が大きかったのは2009年度の52,029円でした。薬学部6年制移行後は、2011年度の初任給の差額は44,346円、2020年度は41,587円と、4万円台(2011年度以降の平均:47,067円)を推移していました(図2)。

 本研究により、薬局薬剤師と病院薬剤師の初任給はこの20年間増加傾向にあることが明らかとなりました。一方、2001年度以降、薬局薬剤師と病院薬剤師の初任給の格差は拡大し、薬学部6年制移行後の2011年度以降の初任給の差額は4万円台で推移していたことが明らかとなりました。これは、6年制移行による一時的な薬剤師不足への対処のために薬局薬剤師の初任給を増加させ、その格差が固定化したことが一因であると考えられます。これらのことから、薬局に偏向している人材を病院に呼び戻すためには、病院薬剤師の業務内容の見直しや給与水準(少なくとも月額4万円程度)の引き上げによる待遇・給与格差の改善が急務であると考えられます。
 
 本研究結果は、薬学生の進路選択のみならず、薬剤師の人材確保のための給与水準の改善に関する議論のための基礎的な知見を提供するものと考えられます。

発表雑誌

    雑誌名
    「医薬品情報学」(2025年5月31日)
     27巻1号、1-7

    論文タイトル
    薬局薬剤師・病院薬剤師の初任給の動向とその格差に関する調査

    著者
    平賀秀明*, 若菜真依, 植草秀介(*責任著者)

添付資料

薬局・病院薬剤師の初任給の動向
図1.薬局・病院薬剤師の初任給の動向(医薬品情報学 27 (1) : 1-7, 2025:引用)
薬局・病院薬剤師の初任給の格差
図2.薬局・病院薬剤師の初任給の格差(医薬品情報学 27 (1) : 1-7, 2025:一部改変)
以上

お問い合わせ先

【本発表資料のお問い合わせ先】
東邦大学薬学部社会薬学研究室
講師 平賀 秀明

〒274-8510 船橋市三山2-2-1
TEL/FAX: 047-472-1664
E-mail: hiraga-hideaki[@]phar.toho-u.ac.jp

【本ニュースリリースの発信元】
学校法人東邦大学 法人本部経営企画部

〒143-8540 大田区大森西5-21-16
TEL: 03-5763-6583  FAX: 03-3768-0660 
E-mail: press[@]toho-u.ac.jp
URL: www.toho-u.ac.jp

※E-mailはアドレスの[@]を@に替えてお送り下さい。