プレスリリース 発行No.1368 令和6年5月29日
FUS変異による筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治験開始について
東邦大学医療センター大森病院 脳神経内科(診療部長:狩野 修)は、2024年6月より、FUS変異による筋萎縮性側索硬化症(ALS)(注1)患者さんに対する核酸医薬の治験(FUSION試験 第1−3相)を実施します。
米国アイオニス・ファーマシューティカルズ社が開発している治験薬(ION363)(注2)を脊髄内に定期的に投与することで変異型FUSタンパク質が減少し、運動ニューロンの障害を防ぐとされています。
今回の治験が開始されることにより、FUS変異によるALS患者さんに対して大きな福音がもたらされることが期待されます。
米国アイオニス・ファーマシューティカルズ社が開発している治験薬(ION363)(注2)を脊髄内に定期的に投与することで変異型FUSタンパク質が減少し、運動ニューロンの障害を防ぐとされています。
今回の治験が開始されることにより、FUS変異によるALS患者さんに対して大きな福音がもたらされることが期待されます。
FUS変異によるALSについて
一般的なALSと異なり、発症年齢が40歳前後と若い方に多く、予後が2~3年と非常に短いのが特徴です*1。
家族性ALSと言われていますが、家系にALS患者さんがいない(de novo変異)場合がほとんどであるとも言われています。
家族性ALSと言われていますが、家系にALS患者さんがいない(de novo変異)場合がほとんどであるとも言われています。
FUS変異によるALSの遺伝子検査体制
遺伝子検査は東北大学の青木正志教授、鈴木直輝講師を中心とした日本医療研究開発機構(AMED)の難治性疾患実用化研究事業「遺伝子治療時代のALS治験即応型レジストリ整備とサロゲートマーカーの探索」として、東北大学、東京大学、東邦大学、愛知医科大学、滋賀医科大学、徳島大学の6施設で実施しています(図)。
今回の治験での遺伝子検査の対象は、家族にALSの方がいる患者さん、もしくはALSの方がおらず40歳以下で発症した患者さんとなります。
今回の治験での遺伝子検査の対象は、家族にALSの方がいる患者さん、もしくはALSの方がおらず40歳以下で発症した患者さんとなります。
治験の対象者及び概要
今回の治験対象は12歳以上で、遺伝子検査でFUS変異を有しており、肺活量が50%以上であるALS患者さんです。登録期間は2025年3月までとなります。
実薬とプラセボ(薬効成分のないお薬)が2:1の割合で無作為に割り付けられ、脊髄腔内に投与されます。
詳細は、東邦大学医療センター大森病院 脳神経内科までお問合せください。
治験の実施機関は東邦大学医療センター大森病院のみとなります。
本治験に関する詳細につきましては、以下のサイトをご覧下さい。
jRCT 臨床研究等・治験計画情報
https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031240101
実薬とプラセボ(薬効成分のないお薬)が2:1の割合で無作為に割り付けられ、脊髄腔内に投与されます。
詳細は、東邦大学医療センター大森病院 脳神経内科までお問合せください。
治験の実施機関は東邦大学医療センター大森病院のみとなります。
本治験に関する詳細につきましては、以下のサイトをご覧下さい。
jRCT 臨床研究等・治験計画情報
https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031240101
用語解説
(注1)筋萎縮性側索硬化症(ALS)
ALSは進行性の神経変性疾患で、四肢の筋力低下、呼吸筋麻痺などを急速に来し、予後が3~5年と非常に短いのが特徴です。日本には1万人の患者さんがいるとされ、そのうち5~10%が遺伝性であり、家族性ALSとも呼ばれています。家族性ALSで最も多いのはSOD1変異を有するALSで、FUS変異は2番目に多いとされています。SOD1に対する核酸医薬は、バイオジェン社 のQALSODYⓇ(トフェルセン)が米国において2023年3月に承認されました。
(注2)治験薬(ION363)
今回の治験薬であるION363は、アンチセンスオリゴヌクレオシドという核酸医薬です。
このアンチセンスオリゴヌクレオシドによりFUS変異を有するALS患者さんのメッセンジャーRNAを減少させ、最終的に毒性を獲得したFUSの産生を低下させます。
ALSは進行性の神経変性疾患で、四肢の筋力低下、呼吸筋麻痺などを急速に来し、予後が3~5年と非常に短いのが特徴です。日本には1万人の患者さんがいるとされ、そのうち5~10%が遺伝性であり、家族性ALSとも呼ばれています。家族性ALSで最も多いのはSOD1変異を有するALSで、FUS変異は2番目に多いとされています。SOD1に対する核酸医薬は、バイオジェン社 のQALSODYⓇ(トフェルセン)が米国において2023年3月に承認されました。
(注2)治験薬(ION363)
今回の治験薬であるION363は、アンチセンスオリゴヌクレオシドという核酸医薬です。
このアンチセンスオリゴヌクレオシドによりFUS変異を有するALS患者さんのメッセンジャーRNAを減少させ、最終的に毒性を獲得したFUSの産生を低下させます。
参考文献
(*1)Suzuki N, Nishiyama A, Warita H, Aoki M. Genetics of amyotrophic lateral sclerosis: seeking therapeutic targets in the era of gene therapy. J Hum Genet. 2023 68(3):131-152. doi: 10.1038/s10038-022-01055-8.
添付資料

図. FUS変異の遺伝子検査実施施設
以上
リリース関するお問合せ
東邦大学医療センター大森病院 脳神経内科
〒143-8541 大田区大森西6-11-1
E-mail: neurology.toho[@]gmail.com
URL:https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/neurology/
※E-mailはアドレスの[@]を@に替えてお送り下さい。