プレスリリース 発行No.1337 令和6年1月31日
喉の形態からわかった
コウモリ類の喉頭エコーロケーションの起源に関する新知見
コウモリ類の喉頭エコーロケーションの起源に関する新知見
コウモリ類(哺乳綱翼手目)は聴覚によって周囲を探知する生体ソナーである「喉頭エコーロケーション(注1)」を使うことによって、暗闇の中を障害物にぶつかることなく飛び回ることができます。コウモリ類の喉頭エコーロケーションの起源は謎に包まれており、今なお盛んに議論されている進化生物学の一大トピックです。
この謎を解き明かすために、東邦大学理学部の土岐田昌和准教授の研究グループは、コウモリ類に属する複数の種の成体と胚を材料に用いて、喉頭エコーロケーションに使用される超音波(注2)を作り出す喉頭の形態多様性と形成パターンを調査しました。
その結果、喉頭エコーロケーションを行う2つの系統(ヤンゴコウモリ亜目とキクガシラコウモリ上科)では、喉頭の異なる領域が特殊化していることが明らかになりました。このことは、2つの系統が進化の過程でそれぞれ独自に喉頭の形態を改変することによって、喉頭エコーロケーションを行う能力を手に入れた可能性を示します。
本研究の成果は、長年にわたるコウモリ類の喉頭エコーロケーションの進化プロセスをめぐる論争に終止符を打つ可能性があり、近年注目されている独自の進化を遂げた哺乳類であるコウモリ類とそれを自然宿主とするウイルスとの関係性についても新たな洞察をもたらすかもしれません。
この成果は2024年1月31日に「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences)」にて発表されました。
この謎を解き明かすために、東邦大学理学部の土岐田昌和准教授の研究グループは、コウモリ類に属する複数の種の成体と胚を材料に用いて、喉頭エコーロケーションに使用される超音波(注2)を作り出す喉頭の形態多様性と形成パターンを調査しました。
その結果、喉頭エコーロケーションを行う2つの系統(ヤンゴコウモリ亜目とキクガシラコウモリ上科)では、喉頭の異なる領域が特殊化していることが明らかになりました。このことは、2つの系統が進化の過程でそれぞれ独自に喉頭の形態を改変することによって、喉頭エコーロケーションを行う能力を手に入れた可能性を示します。
本研究の成果は、長年にわたるコウモリ類の喉頭エコーロケーションの進化プロセスをめぐる論争に終止符を打つ可能性があり、近年注目されている独自の進化を遂げた哺乳類であるコウモリ類とそれを自然宿主とするウイルスとの関係性についても新たな洞察をもたらすかもしれません。
この成果は2024年1月31日に「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences)」にて発表されました。
発表者名
臼井 郁(研究当時:東邦大学大学院理学研究科生物学専攻博士後期課程2022年度修了ならびに
東邦大学理学部博士研究員、現:東京大学医科学研究所感染・免疫部門 特任研究員)
山本 知希(研究当時:東邦大学理学部生物学科2022年度卒業、
現:横浜国立大学大学院環境情報学府自然環境専攻生態学プログラム大学院生)
Eraqi R. Khannoon(Biology Department, College of Science, Taibah University 教授)
土岐田 昌和(東邦大学理学部生物学科 准教授)
東邦大学理学部博士研究員、現:東京大学医科学研究所感染・免疫部門 特任研究員)
山本 知希(研究当時:東邦大学理学部生物学科2022年度卒業、
現:横浜国立大学大学院環境情報学府自然環境専攻生態学プログラム大学院生)
Eraqi R. Khannoon(Biology Department, College of Science, Taibah University 教授)
土岐田 昌和(東邦大学理学部生物学科 准教授)
発表のポイント
- コウモリ類において、キクガシラコウモリ上科とヤンゴコウモリ亜目に属する種は喉頭エコーロケーションを行いますが、オオコウモリ科に属する種は行いません(図1)。
- これまで、喉頭エコーロケーションはコウモリの進化の中で一回獲得されたとする説(単一起源説)と、キクガシラコウモリ上科とヤンゴコウモリ亜目のそれぞれで独自に獲得されたとする説(独立二回起源説)が対立していました(図1)。
- 本研究では、超音波を作り出す部位である喉頭に着目し、複数のコウモリの種の成体と胚を材料に用いて、喉頭の形態とその形成パターンを比較しました。
- 喉頭エコーロケーションを行うヤンゴコウモリ亜目は、喉頭の腹側にユニークな新しい筋を持つことがわかりました。
- 同じく、喉頭エコーロケーションを行うキクガシラコウモリ上科では、喉頭の背側に隆起する軟骨とそれに付着する筋が顕著に発達していることがわかりました。
- 本研究の結果から、コウモリ類の喉頭エコーロケーションの独立二回起源説が支持されました。
発表概要
コウモリ類(哺乳綱翼手目)は、喉頭で作り出した超音波を口や鼻から発射し、周囲の物体から反射する反響音を聴き取ることでその位置を定位する、喉頭エコーロケーションを行います。コウモリ類の喉頭エコーロケーションの進化的起源については、(1)コウモリ類の共通祖先で獲得され、その後オオコウモリ科(Pteropodidae)で失われたとする説(単一起源説)、(2)キクガシラコウモリ上科(Rhinolophoidea)とヤンゴコウモリ亜目(Yangochiroptera)それぞれで収斂的に獲得されたとする説(独立二回起源説)、の2つのシナリオが考えられます。超音波を受容する聴覚関連器官を古生物学的、解剖学的、発生学的、比較ゲノム学的手法によって調べた研究はこれまでも存在していましたが、コウモリ類の喉頭エコーロケーションの進化的起源に関する結論は未だ得られていません。本研究では、複数の系統のコウモリ類の種の間で、喉頭の筋骨格系の形態と形成パターンを比較し、喉頭エコーロケーションを行う2つの系統(キクガシラコウモリ上科とヤンゴコウモリ亜目)では、それぞれ喉頭の異なる領域が特殊化していることを見つけました。この結果は、キクガシラコウモリ上科とヤンゴコウモリ亜目がそれぞれ異なる方法で超音波生成能力を獲得し、喉頭エコーロケーションを収斂的に進化させたという独立二回起源説を支持しました。
発表内容
コウモリ類(哺乳綱翼手目)は約1,400の現生種を含む哺乳類の一系統で、極地を除く地球上のあらゆる環境に生息し、哺乳類において齧歯目に次ぐ種数を誇ります。コウモリ類の繁栄は哺乳類唯一の飛翔能力と、高度な音響定位システムである喉頭エコーロケーションを行う能力を獲得したことによるところが大きいと考えられます。これら2つのユニークな能力を獲得したことにより、コウモリ類は暗闇の中を飛翔し、獲物を捕らえるという独自のニッチを築き上げることに成功しました。コウモリ類の喉頭エコーロケーションは喉頭で作り出した高周波の音(超音波)を口や鼻から発射し、反射してくる反響音の大きさや周波数の変化を感知することによって周囲の物体を定位します。
キクガシラコウモリ上科(Rhinolophoidea)とヤンゴコウモリ亜目(Yangochiroptera)に属するコウモリ類が喉頭エコーロケーションを行いますが、オオコウモリ科(Pteropodidae)のコウモリ類は行いません(図1)。上記3グループの系統関係に基づくと、喉頭エコーロケーションの進化的起源については、次の2つのシナリオが考えられます(図1)。(1)コウモリ類の共通祖先で一度獲得され、その後オオコウモリ科で失われたとするシナリオ(単一起源説)と(2)キクガシラコウモリ上科とヤンゴコウモリ亜目それぞれで独立に獲得されたとするシナリオ(独立二回起源説)です。
これまで、超音波を受容する内耳の蝸牛(うずまき管)や脳の聴覚関連領域に着目した研究は行われてきましたが、上記のどちらの説が正しいかを決める確かな証拠は得られていませんでした。そこで研究グループは、超音波を作り出す部位である喉頭に着目しました。
まず、オオコウモリ科の3種(エジプトルーセットオオコウモリ、デマレルーセットオオコウモリ、クビワオオコウモリ)とキクガシラコウモリ上科の3種(キクガシラコウモリ、カグラコウモリ、エジプトオナガコウモリ)、そしてヤンゴコウモリ亜目の3種(ユビナガコウモリ、アブラコウモリ、セバタンビヘラコウモリ)を材料に用いて、成体における喉頭形態の比較解析を行いました。特に、高周波の音を作り出すために声帯を引き伸ばす役割をもつ筋肉である輪状甲状筋と後輪状披裂筋に注目しました。次に、エジプトルーセットオオコウモリ、キクガシラコウモリ、ユビナガコウモリの3種を材料に用いて、胚発生期の喉頭の形成パターンを調査しました。
調査の結果、キクガシラコウモリ上科の種では喉頭の背側に位置する後輪状披裂筋と、それが付着する輪状軟骨の背側の隆起構造(正中稜:dorsal crest)が著しく発達していることがわかりました。ヤンゴコウモリ亜目の種では喉頭の腹側において、輪状軟骨の腹側面から喉頭の腹側を覆うように伸長し、甲状軟骨の上端部に停止するユニークな新しい筋(輪状甲状筋腹側部:preanterior cricothyroid muscleと命名)が存在することがわかりました。ヤンゴコウモリ亜目の種の喉頭発生において、この新規の筋は、オオコウモリ科とキクガシラコウモリ上科のコウモリ類にも存在する輪状甲状筋の腹側の突起として生じ、その後、輪状甲状筋から分離、独立することがわかりました。また、オオコウモリ科の種の喉頭は一般的な哺乳類の喉頭で見られる形態を保持しており、他の2系統のような特殊化した形態は観察されませんでした。
以上の結果から、キクガシラコウモリ上科は喉頭背側の領域が、ヤンゴコウモリ亜目は喉頭腹側の領域が、それぞれ特殊化していることが明らかになりました(図1)。哺乳類が高い声を発生させる際には、喉頭で次の①~④に挙げる一連の運動が起こります。①輪状甲状筋の収縮によって甲状軟骨が腹側に傾く、②後輪状披裂筋の収縮によって披裂軟骨が背側に牽引される、③甲状軟骨と披裂軟骨を繋ぐ声帯が伸張する、④伸張した声帯が震えることにより高い音が生成される。これは、コウモリ類が超音波を発生させる際も同様です。ヤンゴコウモリ亜目の喉頭腹側では、輪状甲状筋腹側部が収縮することで、甲状軟骨がより深く傾倒し、声帯の伸張がより強化される可能性があります。一方、キクガシラコウモリ上科の喉頭背側では、発達した後輪状披裂筋の収縮によって背側からも声帯を引っ張ることができ、声帯により高い張力を与えることができるのかもしれません。
本研究の結果から、キクガシラコウモリ上科とヤンゴコウモリ亜目がそれぞれ独自に喉頭の形態を改変することによって超音波生成能力を獲得し、喉頭エコーロケーションが収斂的に進化したというシナリオ(独立二回起源説)が支持されました(図1)。
キクガシラコウモリ上科(Rhinolophoidea)とヤンゴコウモリ亜目(Yangochiroptera)に属するコウモリ類が喉頭エコーロケーションを行いますが、オオコウモリ科(Pteropodidae)のコウモリ類は行いません(図1)。上記3グループの系統関係に基づくと、喉頭エコーロケーションの進化的起源については、次の2つのシナリオが考えられます(図1)。(1)コウモリ類の共通祖先で一度獲得され、その後オオコウモリ科で失われたとするシナリオ(単一起源説)と(2)キクガシラコウモリ上科とヤンゴコウモリ亜目それぞれで独立に獲得されたとするシナリオ(独立二回起源説)です。
これまで、超音波を受容する内耳の蝸牛(うずまき管)や脳の聴覚関連領域に着目した研究は行われてきましたが、上記のどちらの説が正しいかを決める確かな証拠は得られていませんでした。そこで研究グループは、超音波を作り出す部位である喉頭に着目しました。
まず、オオコウモリ科の3種(エジプトルーセットオオコウモリ、デマレルーセットオオコウモリ、クビワオオコウモリ)とキクガシラコウモリ上科の3種(キクガシラコウモリ、カグラコウモリ、エジプトオナガコウモリ)、そしてヤンゴコウモリ亜目の3種(ユビナガコウモリ、アブラコウモリ、セバタンビヘラコウモリ)を材料に用いて、成体における喉頭形態の比較解析を行いました。特に、高周波の音を作り出すために声帯を引き伸ばす役割をもつ筋肉である輪状甲状筋と後輪状披裂筋に注目しました。次に、エジプトルーセットオオコウモリ、キクガシラコウモリ、ユビナガコウモリの3種を材料に用いて、胚発生期の喉頭の形成パターンを調査しました。
調査の結果、キクガシラコウモリ上科の種では喉頭の背側に位置する後輪状披裂筋と、それが付着する輪状軟骨の背側の隆起構造(正中稜:dorsal crest)が著しく発達していることがわかりました。ヤンゴコウモリ亜目の種では喉頭の腹側において、輪状軟骨の腹側面から喉頭の腹側を覆うように伸長し、甲状軟骨の上端部に停止するユニークな新しい筋(輪状甲状筋腹側部:preanterior cricothyroid muscleと命名)が存在することがわかりました。ヤンゴコウモリ亜目の種の喉頭発生において、この新規の筋は、オオコウモリ科とキクガシラコウモリ上科のコウモリ類にも存在する輪状甲状筋の腹側の突起として生じ、その後、輪状甲状筋から分離、独立することがわかりました。また、オオコウモリ科の種の喉頭は一般的な哺乳類の喉頭で見られる形態を保持しており、他の2系統のような特殊化した形態は観察されませんでした。
以上の結果から、キクガシラコウモリ上科は喉頭背側の領域が、ヤンゴコウモリ亜目は喉頭腹側の領域が、それぞれ特殊化していることが明らかになりました(図1)。哺乳類が高い声を発生させる際には、喉頭で次の①~④に挙げる一連の運動が起こります。①輪状甲状筋の収縮によって甲状軟骨が腹側に傾く、②後輪状披裂筋の収縮によって披裂軟骨が背側に牽引される、③甲状軟骨と披裂軟骨を繋ぐ声帯が伸張する、④伸張した声帯が震えることにより高い音が生成される。これは、コウモリ類が超音波を発生させる際も同様です。ヤンゴコウモリ亜目の喉頭腹側では、輪状甲状筋腹側部が収縮することで、甲状軟骨がより深く傾倒し、声帯の伸張がより強化される可能性があります。一方、キクガシラコウモリ上科の喉頭背側では、発達した後輪状披裂筋の収縮によって背側からも声帯を引っ張ることができ、声帯により高い張力を与えることができるのかもしれません。
本研究の結果から、キクガシラコウモリ上科とヤンゴコウモリ亜目がそれぞれ独自に喉頭の形態を改変することによって超音波生成能力を獲得し、喉頭エコーロケーションが収斂的に進化したというシナリオ(独立二回起源説)が支持されました(図1)。
発表雑誌
雑誌名
「Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences」(2024年1月31日)
論文タイトル
Musculoskeletal morphogenesis supports the convergent evolution of bat laryngeal echolocation
著者
Kaoru Usui, Tomoki Yamamoto, Eraqi R. Khannoon, and Masayoshi Tokita*(*責任著者)
DOI番号
10.1098/rspb.2023.2196
論文URL
https://doi.org/10.1098/rspb.2023.2196
「Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences」(2024年1月31日)
論文タイトル
Musculoskeletal morphogenesis supports the convergent evolution of bat laryngeal echolocation
著者
Kaoru Usui, Tomoki Yamamoto, Eraqi R. Khannoon, and Masayoshi Tokita*(*責任著者)
DOI番号
10.1098/rspb.2023.2196
論文URL
https://doi.org/10.1098/rspb.2023.2196
用語解説
(注1)エコーロケーション
反響定位とも呼ばれ、動物が自ら音を発射し、何かにぶつかって反射してきた音を受信することで対象物までの位置を知ることです。一部の齧歯類や夜行性の鳥類もエコーロケーションを行うことが知られていますが、中でもコウモリ類とハクジラ類のそれは極めて高い定位能力をもつことで知られています。オオコウモリ科の一部の種は舌打ち音によるエコーロケーションを行いますが、本研究では、喉頭で作り出される高周波音を用いたエコーロケーション(喉頭エコーロケーション)の進化史を明らかにすることを目指しました。
(注2)超音波
一般に、超音波は「ヒトが聴くことができない高い周波数の音」と定義されています。ヒトに聞こえる周波数の範囲(可聴域)は、20 Hz〜20,000 Hz(20 kHz)くらいまでのため、おおよそ20kHz以上の音波が超音波として扱われます。超音波は可聴音と比べて指向性が高く、波長が短く空間分解能が高いという、エコーロケーションに適した音響学的特性を備えています。
反響定位とも呼ばれ、動物が自ら音を発射し、何かにぶつかって反射してきた音を受信することで対象物までの位置を知ることです。一部の齧歯類や夜行性の鳥類もエコーロケーションを行うことが知られていますが、中でもコウモリ類とハクジラ類のそれは極めて高い定位能力をもつことで知られています。オオコウモリ科の一部の種は舌打ち音によるエコーロケーションを行いますが、本研究では、喉頭で作り出される高周波音を用いたエコーロケーション(喉頭エコーロケーション)の進化史を明らかにすることを目指しました。
(注2)超音波
一般に、超音波は「ヒトが聴くことができない高い周波数の音」と定義されています。ヒトに聞こえる周波数の範囲(可聴域)は、20 Hz〜20,000 Hz(20 kHz)くらいまでのため、おおよそ20kHz以上の音波が超音波として扱われます。超音波は可聴音と比べて指向性が高く、波長が短く空間分解能が高いという、エコーロケーションに適した音響学的特性を備えています。
添付資料

図1.コウモリ類における喉頭形態の変化と喉頭エコーロケーションの進化
上段
コウモリ類は喉頭エコーロケーションを行うキクガシラコウモリ上科とヤンゴコウモリ亜目(それぞれピンクの枠で囲んだ)と、それを行わないオオコウモリ科(ブルーの枠で囲んだ)の3大系統で構成される。
中段
イラストは各系統の喉頭形態の特徴を模式的に示している。キクガシラコウモリ上科では喉頭の背側において、他の系統と比べて正中綾が突出し、後輪状被裂筋が発達している。ヤンゴコウモリ亜目では喉頭の腹側に新規の筋、輪状甲状筋腹側部が存在する。
下段
コウモリ類の3大系統の類縁関係を系統樹の形で示す。本研究の結果は、キクガシラコウモリ上科とヤンゴコウモリ亜目がそれぞれの進化の過程で独自に喉頭の形態を改変することで超音波生成能力を獲得し、喉頭エコーロケーションが収斂的に進化したというシナリオ(独立二回起源説)を支持した。
上段
コウモリ類は喉頭エコーロケーションを行うキクガシラコウモリ上科とヤンゴコウモリ亜目(それぞれピンクの枠で囲んだ)と、それを行わないオオコウモリ科(ブルーの枠で囲んだ)の3大系統で構成される。
中段
イラストは各系統の喉頭形態の特徴を模式的に示している。キクガシラコウモリ上科では喉頭の背側において、他の系統と比べて正中綾が突出し、後輪状被裂筋が発達している。ヤンゴコウモリ亜目では喉頭の腹側に新規の筋、輪状甲状筋腹側部が存在する。
下段
コウモリ類の3大系統の類縁関係を系統樹の形で示す。本研究の結果は、キクガシラコウモリ上科とヤンゴコウモリ亜目がそれぞれの進化の過程で独自に喉頭の形態を改変することで超音波生成能力を獲得し、喉頭エコーロケーションが収斂的に進化したというシナリオ(独立二回起源説)を支持した。
以上
お問い合わせ先
【本発表資料のお問い合わせ先】
東邦大学理学部生物学科
准教授 土岐田 昌和
〒274-8510 船橋市三山2-2-1
TEL/FAX: 047-472-5236
URL: https://www.toho-u.ac.jp/sci/lab/Sci-Bio-lab-04.html
【本ニュースリリースの発信元】
学校法人東邦大学 法人本部経営企画部
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E-mail: press[@]toho-u.ac.jp
URL:www.toho-u.ac.jp
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