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プレスリリース 発行No.1278 令和5年4月11日

地域でのメンタルヘルス・ワンストップ早期相談支援に関する
産学連携での取り組みについて

 東邦大学と日本生命保険相互会社は、この度、東邦大学初となる社会連携講座(注1)「社会実装精神医学講座」を設置しました。わが国におけるメンタルヘルスの向上に向けて、地域においてワンストップ(注2)で早期相談・支援を実施する窓口サービスやそのシステムの構築および普及を目的として、研究と地域実践を行っていきます。講座の設置にあたり、去る2023年4月6日に東邦大学において契約書調印式を行いました。

契約書調印式の様子

左から【日本生命】浜口知実理事 ヘルスケア事業部部長、赤堀直樹取締役 常務執行役員
【東邦大学】 高松研学長、盛田俊介医学部長、根本隆洋教授

社会実装精神医学講座設置の目的

 心の健康問題はコロナ禍でより顕在化し、特に女性や若年者など弱い立場にある人たちのメンタルヘルスは、社会的に大きな課題となっています。企業においても、コロナ禍による職場環境の目まぐるしい変化の中で、早期相談や不調への対応についての関心が高まっています。
 本社会連携講座では、本学医学部精神神経医学講座が厚生労働科学研究事業「MEICIS(注3)研究プロジェクト」の中で開発した、メンタルヘルスに関するワンストップ相談・支援サービスとそのシステムのさらなる普及を目指します。東邦大学と日本生命の共同研究契約に基づく社会連携講座の設置により、両者のネットワークとノウハウが活かされることが期待されます。
 具体的には、各地域における地勢、人口動態、経済・産業、保健医療福祉に関わる社会資源などを踏まえ、諸機関や多職種専門家、住民のコミュニティ、そして自治体との連携構築を模索し、WHOも提唱する「ワンストップ・ケア」に基づくメンタルヘルス早期相談・支援サービスの設置や継続的支援などを行っていきます。

 大学の医学部は、教育、研究に診療を加えて3本柱とするのが、他学部との大きな違いであり特徴です。しかし研究において、その成果が実地で役に立つまでには17年かかり、実際に活用できる成果も14%にとどまるといわれています。本講座は、地域社会におけるメンタルヘルスの促進と、人々が不調の際には早期相談と支援が可能となるサービスやシステムの「社会実装(social implementation)」を目指します。そうした思いを込めて、東邦大学初の社会連携講座を「社会実装精神医学講座(Department of Psychiatry and Implementation Science)」と名付けました。「社会実装精神医学」という、新たな学問を打ち立てる気概を持ち、研究のみならず地域における実践を重視してまいります。そして、わが国におけるメンタルヘルスの向上と、全世界の目標である「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、力を尽くします。

 国民の健康寿命延伸と保険事業の高度化の実現によりあらゆる世代が安心して暮らせる社会を目指す日本生命と、建学の精神「自然・生命・人間」を受け継ぎ、自然と生命の科学で社会に貢献できる人材育成を行う東邦大学との産学連携により、精神的に豊かで躍動的な社会の実現を目指します。

東邦大学医学部精神神経医学講座の取り組み

 1949年に開講し、社会精神医学を中心とした研究活動を伝統とし、研究のみにとどまらず、地域における実践を重視してきました。

 2019年度からの厚生労働科学研究事業「MEICIS研究プロジェクト(研究代表者:根本隆洋)」では、特徴ある地域を全国から選び、モデル地域として研究を実施してきました(東京都足立区、埼玉県川口市・所沢市、秋田県、大田区・京浜地区)。それぞれの地域の特性やニーズを踏まえた取り組みは、若者向けの「ワンストップ相談センターSODA(注4)」や秋田県における技術支援ネットワーク「AMIN(注5)」の構築に至りました。「SODA」のパッケージは、既に複数の自治体に採用していただいています。

日本生命におけるヘルスケア事業の取り組み

 中期経営計画の柱の一つに健康長寿社会づくりの牽引を掲げ、「リスクに備える」保険の提供に加えて、「リスクを軽減する」ヘルスケアサービスの強化に重点的に取り組み、これまで身体の健康に関して「データに基づく組織の課題分析」と「個人の疾病予防」を軸にサービスを展開しています。
 心の健康においても、2022年度から東京大学と共同で、職場での取り組み支援としてストレスチェックデータの高度な分析手法等を研究開発しています。個人の疾病予防では、東邦大学と共同で、各地域の特性を踏まえたメンタルヘルスに関わるワンストップ早期相談・支援の普及を志向します。
 心身ともに健康保持・増進に役立つサービスの提供を通じて、豊かな健康長寿社会と持続性のある社会の実現に貢献してまいります。

用語解説

(注1)社会連携講座
公共性の高い社会課題について、大学と民間企業が産学連携により共同研究を行う枠組みを構築すること

(注2)ワンストップ
1か所の窓口で、様々な相談対応や支援を包括的に行うこと

(注3)MEICIS
Mental health and Early Intervention in the Community-based Integrated care System
https://meicis.jp(※外部サイトにリンクします)

(注4)ワンストップ相談センターSODA
Support with One-stop care on Demand for Adolescents and young adults
https://www.css-soda-k.com/home
https://www.soda-adachi.com
(※いずれも外部サイトにリンクします)

(注5)技術支援ネットワーク「AMIN」
Akita Mental health ICT Network

東邦大学の概要

         
名称 学校法人 東邦大学
主な事業内容 教育・研究・医療     
設立年 1925年
所在地 東京都大田区
代表者 理事長 炭山 嘉伸

日本生命の概要

         
名称 日本生命保険相互会社
主な事業内容 生命保険業
設立年 1889年7月
所在地 大阪府大阪市中央区
代表者 代表取締役社長 社長執行役員 清水 博
以上

お問い合わせ先

【本件に関するお問い合わせ先】
東邦大学医学部精神神経医学講座・社会実装精神医学講座
教授 根本隆洋

〒143-8540 大田区大森西 5-21-16
TEL: 03-3762-4151(代表)
E-mail: meicis[@]ext.toho-u.ac.jp

【本ニュースリリースの発信元】
学校法人東邦大学 法人本部経営企画部

〒143-8540 大田区大森西5-21-16
TEL: 03-5763-6583 FAX: 03-3768-0660
E-mail: press[@]toho-u.ac.jp 
URL:www.toho-u.ac.jp

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