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プレスリリース 発行No.1307 令和5年9月11日

副交感神経伝達物質による膀胱平滑筋の収縮反応が
プロスタノイドTP受容体の刺激により増強されるメカニズムを解明
~ タンパク質リン酸化酵素、プロテインキナーゼCによる複雑な制御を明らかに ~

 東邦大学薬学部薬理学教室の田中芳夫教授らの研究グループは、副交感神経伝達物質であるアセチルコリンとアデノシン三リン酸(ATP)による膀胱平滑筋の収縮反応がプロスタノイドTP受容体により増強され、その増強はタンパク質リン酸化酵素であるプロテインキナーゼCによる複雑な制御により生じることを明らかにしました。

 この研究成果は、雑誌「Journal of Pharmacological Sciences」に、2023年8月29日に先行公開されました。

発表者名

欧 光瀚(東邦大学大学院薬学研究科 医療薬学専攻 博士課程4年)
吉岡 健人(東邦大学薬学部薬理学教室 講師)
小原 圭将(東邦大学薬学部薬理学教室 講師)
田中 芳夫(東邦大学薬学部薬理学教室 教授)

発表のポイント

  • プロスタノイド(注1)は炎症や血小板の凝集反応に関与する生理活性脂質です。研究グループはこれまで、各種プロスタノイドが膀胱平滑筋のプロスタノイドTP受容体を刺激することで、膀胱平滑筋の収縮活動を増加させ、過活動膀胱(OAB)の原因となる可能性を報告してきました。
  • 本研究では、尿の排出を制御している副交感神経から遊離される神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)とアデノシン三リン酸(ATP)による膀胱平滑筋の収縮反応が、膀胱平滑筋のプロスタノイドTP受容体(注2)の刺激により増強されることを示すとともに、その増強機序にタンパク質リン酸化酵素であるプロテインキナーゼC(PKC)(注3)による複雑な制御が関与することを明らかにしました。
  • 本研究結果は、OABなどの排尿運動異常におけるプロスタノイドの役割を示すとともに、膀胱の収縮異常のメカニズムの解明に寄与するものと考えられます。

発表概要

 過活動膀胱(OAB: overactive bladder)は、膀胱に尿が貯められなくなる蓄尿機能障害の1つであり、尿意切迫感や場合によっては尿失禁を引き起こすことで患者のquality of life(QOL)を大きく低下させることが知られている疾患です。日本では、40歳以上の約8人に1人がOABの症状を有することが報告されており、その患者数は1000万人以上と推定されています。OABなどの排尿障害は、加齢とともに罹患率が増加することが知られており、超高齢社会に突入した日本では、これらの排尿障害を抱える患者が増加しています。OABの薬物治療には、膀胱の機能を制御する交感神経と副交感神経から成る自律神経系(注4)に作用する薬物が用いられています。しかし、自律神経系に作用する薬物には、口の渇きや便秘を引き起こす副作用により治療を中断せざるを得ない患者や、これらの治療薬に効果を示さない患者も多く存在することから、OABに対する新たな治療薬の登場が望まれています。炎症や血小板の凝集反応に関与する生理活性脂質であるプロスタノイドは、OABの原因となる可能性がこれまで指摘されており、プロスタノイドの標的となる受容体の拮抗薬は、新たなOAB治療薬となる可能性を秘めています。ただし、膀胱平滑筋に対する各種プロスタノイドの作用やそれらの作用メカニズムに関する情報は不足していました。そこで、研究グループは、モルモットから摘出した膀胱平滑筋の収縮活動に対する影響を指標に検討を行い、各種プロスタノイドが膀胱平滑筋の収縮活動を増加させることを明らかにするとともに、膀胱平滑筋のプロスタノイドTP受容体がこれらのプロスタノイドのターゲットの1つとなることを報告しました(Ou et al., Life Sciences. 287, 120130. https://doi.org/10.1016/j.lfs.2021.120130)。

 ところで、プロスタノイドTP受容体の活性化は様々な平滑筋の収縮反応を引き起こすだけでなく、プロテインキナーゼC(PKC)というタンパク質リン酸化酵素を活性化することで、細胞の表面や内側に存在する様々なタンパク質の機能を変化させ、プロスタノイド以外の生理活性物質による平滑筋の収縮反応性を増強することが知られています。しかし、膀胱平滑筋のプロスタノイドTP受容体の活性化が、副交感神経から遊離される神経伝達物質で、膀胱収縮作用を示すアセチルコリン(ACh)やアデノシン三リン酸(ATP)による収縮反応(図1)を増強する可能性や、この効果におけるPKCの関与はこれまで検討されていませんでした。今回、研究グループは、ACh及びATPによる収縮反応が、膀胱平滑筋のプロスタノイドTP受容体の活性化により増強されることをはじめて明らかにし、その増強機序に関わるPKCの複雑な役割を示すことに成功しました(図2)。具体的には、TP受容体刺激により活性化されたPKCが電位依存性Ca2+チャネル(VDCC)(注5)の機能を促進することによって、ATPによる収縮の増強がもたらされることが明らかとなりました。一方、AChの場合には、PKCがVDCCの機能を亢進させるのと同時にACh受容体(M3受容体)の機能を抑制してしまうため、見かけ上PKCの関与は認められませんでした。膀胱の収縮性は加齢とともにAChよりもATPによってより強く制御されることが知られていますので、今回見いだされたプロスタノイドTP受容体刺激によるPKCを介した膀胱収縮の増強は、加齢性OAB誘発の機序となる可能性があり、OABに対する薬物治療の新たな可能性につながることが期待されます。

発表内容

 研究グループは、マグヌス法(注6)を用いて、ACh及びATP誘導体(α,β-メチレンATP(αβ-MeATP))によるモルモット膀胱平滑筋の収縮反応が、プロスタノイドTP受容体刺激薬(U46619)により増強される可能性を検証するともに、プロスタノイドTP受容体刺激とPKCの関連性についても検討しました。図3に示すように、膀胱平滑筋標本に神経電気刺激を与えると、副交感神経終末から遊離されたACh及びATPが膀胱平滑筋のそれぞれの受容体に結合してこれを活性化するため、収縮反応が記録されます。一方、TP受容体刺激薬であるU46619を処置しておくと、神経電気刺激による収縮反応は強力に増強され(図3A)、TP受容体拮抗薬であるSQ 29,548によりその増強効果は完全に抑制されました(図3B)。また、図4A、Bに示すように、U46619は栄養液中に投与されたACh(図4A)、αβ-MeATP(図4B)による収縮反応も強力に増強しました。次に、U46619による収縮増強にPKCが関与する可能性を調べるためにその阻害薬(Gö 6983、sotrastaurin)の影響を検討したところ、これらPKC阻害薬はAChによる収縮増強には影響しませんでしたが(図4C)、αβ-MeATPによる収縮反応を有意に抑制しました(図4D)。さらに、AChによる収縮反応はPKC活性化薬であるphorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)によって増強されませんでしたが(図5A)、αβ-MeATPによる収縮反応はPMAにより強力に増強されました(図5B)。これらの結果は、膀胱平滑筋においてTP受容体刺激を介して活性化されたPKCはACh収縮には見かけ上影響せずにαβ-MeATP収縮のみを強力に増強するという、異なった影響を与えることを示しています。

 膀胱平滑筋のACh及びαβ-MeATPによる収縮反応を仲介する細胞内Ca2+濃度上昇に関わる細胞内情報伝達経路は、図1のように説明することができます。まず、AChは、アセチルコリン受容体(M3受容体)を刺激し、1)電位依存性Ca2+チャネル(VDCC)を介した細胞外からのCa2+流入、2)イノシトール三リン酸(IP3)による筋小胞体からのCa2+の遊離、により細胞内Ca2+濃度上昇と収縮を引き起こします。一方、ATP(実験で使用したのはαβ-MeATP)は、ATP受容体(P2X1受容体)を刺激し、1)P2X1受容体に内蔵されている陽イオンチャネルを介した細胞外からのCa2+流入、2)電位依存性Ca2+チャネル(VDCC)を介した細胞外からのCa2+流入、により細胞内Ca2+濃度上昇と収縮を引き起こします。また、両者の収縮に関わるVDCCの活性化は、大コンダクタンスCa2+活性化K+チャネル(BKチャネル)(注7)により抑制性に制御されています。これらを踏まえて、両者の反応に重要な役割を果たすVDCCに注目し、さらなる実験を行いました。

 図6に示すように、生理緩衝液のKCl濃度を50 mMまで増加させると、脱分極が生じ、VDCCの開口による細胞内Ca2+濃度の増加を介した膀胱平滑筋の収縮反応が引き起こされます。この収縮反応はU46619(図6A)及びPMA(図6C)により増強されました。また、U46619(図6B)及びPMA(図6D)により増強された50 mM KClによる収縮反応は、いずれもPKC阻害薬により有意に抑制されました。したがって、U46619によって活性化されるPKCの標的の1つがVDCCであり、その活性化が収縮増強に寄与していることが裏付けられました。

 これらの結果とこれまでの報告を踏まえて考察すると、図2に示すように、プロスタノイドTP受容体の活性化が引き起こす複雑な制御機構が明らかとなりました。ATPに関しては、TP受容体の刺激は、1)PKCによるVDCC及びATP受容体(P2X1受容体)の活性化、2)VDCCを抑制性に制御しているBKチャネルに対する阻害を介したVDCCの活性化、3)Rho関連プロテインキナーゼ(ROCK)によるATP受容体(P2X1受容体)の活性化などを介して細胞内Ca2+濃度を上昇させて収縮を増強する可能性が考えられます。AChに関しては、TP受容体の刺激は、1)BKチャネルに対する抑制を介したVDCCの活性化、2)筋小胞体からのCa2+遊離の増加などを介して収縮を増強する可能性が考えられます。ただし、AChの場合、TP受容体刺激により活性化されたPKCがVDCCの活性化を引き起こす一方で、PKCがアセチルコリン受容体(M3受容体)機能を抑制するため、PKCの関与は相殺されて何ら影響していないように見受けられます。即ち、PKCを介したM3受容体機能に対する抑制が、PKCを介したVDCC機能の促進効果を打ち消します。

 膀胱平滑筋のTP受容体が様々な内因性プロスタノイドにより刺激されると、その刺激自身が自発性収縮を促進したり筋の緊張性を亢進したりするほか、それ以外の薬物受容体が刺激された場合の収縮に対しても相乗的な増強効果を引き起こして、収縮性を亢進させることが明らかとなりました。また、その増強効果の機序は一様ではなく、薬物受容体の刺激によって活性化される受容体固有の細胞内情報伝達機構の特性に即したものであることも示されました。膀胱平滑筋を支配する副交感神経終末からはAChとATPの2種類の神経伝達物質が遊離されますが、加齢とともにAChよりもATPによってより強く制御されることが知られています。今回見いだされたプロスタノイドTP受容体によるPKCを介した膀胱収縮の増強は、加齢性OAB誘発の新たな機序である可能性があり、OABに対する薬物治療の新たな可能性をもたらすことが期待されます。また、TP受容体はACh収縮も非常に強力に増強しますので、非加齢性OABの誘発要因となる可能性も秘めていることから、プロスタノイドTP受容体を標的とした薬物治療がOABの新たな薬物治療の戦略となることも期待されます。

発表雑誌

    雑誌名
    「Journal of Pharmacological Sciences」(2023年8月29日先行公開)
    153巻3号、119–129

    論文タイトル
    Pharmacological study on the enhancing effects of U46619 on guinea pig urinary bladder smooth muscle contraction induced by acetylcholine and α,β-methylene ATP and the possible involvement of protein kinase C

    著者
    Guanghan Ou, Akane Komura, Misaki Hojo, Rina Kato, Masahiro Ikeda,Miki Fujisawa, Keyue Xu, Kento Yoshioka, Keisuke Obara, Yoshio Tanaka

    DOI番号
    10.1016/j.jphs.2023.08.007

    アブストラクトURL
    https://doi.org/10.1016/j.jphs.2023.08.007

用語解説

(注1)プロスタノイド
プロスタノイドは、プロスタグランジン類(PG)とトロンボキサン類(TX)からなる生理活性脂質の総称です。具体的には、PGA2、PGD2、PGE2、PGF、PGI2、TXA2などがあります。消化管の生理機能の調節などに関わるだけでなく、炎症、疼痛、発熱、血小板凝集などの病態生理機能に関わることが知られています。

(注2)プロスタノイドTP受容体
プロスタノイドTP受容体は、プロスタノイドのうち、トロンボキサン(TX)A2に対して高い親和性を示す受容体です。プロスタノイドと結合することで、炎症、血小板凝集、気管平滑筋の収縮(喘息の悪化)、血管平滑筋の収縮(血圧上昇)など生体内に病態的な変化をもたらします。

(注3)プロテインキナーゼC(PKC)
プロテインキナーゼCは、タンパク質にリン酸基を付加(リン酸化)する酵素の1つである。プロテインキナーゼCによるリン酸化は、タンパク質の機能を増強・減弱したり、細胞膜・細胞内での局在を変化させたりすることが知られている。プロテインキナーゼCは、受容体の刺激による細胞内Ca2+の上昇やジアシルグリセロールなどのリン脂質によって活性化される。

(注4)自律神経系
自律神経系は、運動時に機能が促進される交感神経と安静時に機能が促進される副交感神経から構成されます。自律神経系は、無意識化で自動的(自律的)に機能しており、生体内の血圧、呼吸、消化管運動、排尿などの様々な機能を調節しています。膀胱では、尿をためる畜尿時に交感神経を興奮させることで、ノルアドレナリンの遊離を促進し、膀胱平滑筋を弛緩させます。一方、尿を出す排尿時には、副交感神経が興奮し、アセチルコリン(ACh)やアデノシン三リン酸(ATP)の遊離を促進させることで、膀胱平滑筋が収縮し、排尿がもたらされます。

(注5)電位依存性Ca2+チャネル(VDCC)
VDCCは、細胞外から細胞内にCa2+を流入させる経路として機能するチャネルです。神経伝達物質や生理活性ペプチドなどによりもたらされる細胞膜の膜電位変化により制御されており、脱分極(細胞膜の電位が相対的にプラス側に傾くこと)によって開口します。本研究からは、アセチルコリン(ACh)やアデノシン三リン酸(ATP)による収縮反応にVDCCの活性化が重要な役割を担うことが示されました。また、排尿異常に対する治療薬として、VDCCを抑制する治療薬も用いられています。

(注6)マグヌス法
マグヌス法は、生体と類似した環境を維持するために、加温・通気した生理緩衝液(生体と同じような成分を含む溶液)中で平滑筋の収縮反応を記録する方法です。

(注7)大コンダクタンスCa2+活性化K+チャネル(BKチャネル)
BKチャネルは、膜電位(細胞の内外に存在する電位の差)の上昇と細胞内Ca2+濃度の上昇により開口し、細胞内からK+イオンを流出させ、膜の興奮を抑制させるK+チャネルです。BKチャネルは、膜電位の安定化に大きく寄与していると考えられており、各種平滑筋での興奮制御に重要な役割を果たします。

添付資料

図1.本研究成果の概要①

膀胱平滑筋を支配する副交感神経伝達物質からはアセチルコリン(ACh)とアデノシン三リン酸(ATP)が遊離されます。AChとATPは、図の実線(赤)の矢印で示すメカニズムを介して、細胞内Ca2+濃度を増加させることで膀胱平滑筋の収縮反応を引き起こします。ACh(図の左側)の場合は、アセチルコリン受容体(M3受容体)の刺激による、1)電位依存性Ca2+チャネル(VDCC)を介した細胞外からのCa2+流入、2)イノシトール三リン酸(IP3)による筋小胞体からのCa2+の遊離、により収縮がもたらされます。ATP(図の右側)の場合は、ATP受容体(P2X1受容体)の刺激による、1)P2X1受容体に内蔵されている陽イオンチャネルを介した細胞外からのCa2+流入、2)電位依存性Ca2+チャネル(VDCC)を介した細胞外からのCa2+流入、により収縮がもたらされます。また、実線(青)の矢印で示すように、両者の収縮に関わるVDCCの活性化は、大コンダクタンスCa2+活性化K+チャネル(BKチャネル)に抑制されています。

図2.本研究成果の概要②

トロンボキサンA2(TXA2)などのプロスタノイドによるプロスタノイドTP受容体の刺激は、図の点線の矢印で示すメカニズム(赤:活性化、青:抑制)を介して、アセチルコリン(ACh)とアデノシン三リン酸(ATP)による膀胱平滑筋の収縮反応を増強すると考えられます。ATP(図の右側)に関しては、TP受容体の刺激は、1)プロテインキナーゼC(PKC)による電位依存性Ca2+チャネル(VDCC)及びATP受容体(P2X1受容体)の活性化、2)VDCCを抑制性に制御しているBKチャネルに対する阻害を介したVDCCの活性化、3)Rho関連プロテインキナーゼ(ROCK)によるATP受容体(P2X1受容体)の活性化、を介して細胞内Ca2+濃度を上昇させることで、収縮を増強する可能性が考えられます。ACh(図の左側)に関しては、TP受容体の刺激は、1)BKチャネルに対する阻害を介したVDCCの活性化、2)筋小胞体からのCa2+遊離の増加、を介して収縮を増強する可能性が考えられます。ただし、AChの場合、PKCの関与は見かけ上、無視できます。これは、TP受容体刺激が、PKCによるVDCCの活性化を引き起こす一方で、PKCによるアセチルコリン受容体(M3受容体)の機能の抑制を引き起こすためです。即ち、PKCを介したM3受容体の機能に対する抑制効果は、PKCを介したVDCCの活性化による増強効果を打ち消します。

図3.電気刺激(EFS)により誘発される副交感神経の活性化を介した膀胱平滑筋の収縮反応に対するU46619(プロスタノイドTP受容体刺激薬)とSQ 29,548(SQ、プロスタノイドTP受容体拮抗薬)の影響

図3Aは、EFSによる誘発される副交感神経の活性化を介した膀胱平滑筋の収縮反応(図の黒丸)に対するU46619の増強効果を示し、図3Bは、その増強効果に対する及びSQの抑制効果を示します(a:代表的な実験記録、b:解析結果のまとめ)。図3Aに示すように、EFSを介した収縮反応は、U46619により強力に増強され、図3に示すようにその増強効果はSQの処置によりほぼ完全に抑制されました。なお、実験の終わりには、神経毒であるテトロドトキシン(TTX)を投与することで、黒丸で示す反応が副交感神経を介したものであることを確認しました。

図4.アセチルコリン(ACh)及びATP誘導体(αβ-MeATP)による収縮反応に対するU46619(プロスタノイドTP受容体刺激薬)の増強効果とプロテインキナーゼC(PKC)阻害薬(Gö 6983(Gö)、sotrastaurin(Sot))の影響

図4A、BはそれぞれACh(A)、αβ-MeATP(B)による膀胱の収縮反応に対するU46619の増強効果を示し(a:代表的な実験記録、b、c:解析結果のまとめ)、図4C、Dは、その増強効果(C:ACh、D:αβ-MeATP)に対するPLC阻害薬の効果を示します(a、b:代表的な実験記録、c、d:解析結果のまとめ)。図4A、Bに示すように、ACh及びαβ-MeATPによる収縮反応はU46619により増強されました。図4Cに示すように、AChに対する増強効果はPKC阻害薬の処置により、統計的に有意な抑制を認めませんでしたが、図4Dに示すように、αβ-MeATPによる収縮反応はPKC阻害薬の処置により、有意に抑制されました。

図5.アセチルコリン(ACh)及びATP誘導体(αβ-MeATP)による収縮反応に対するプロテインキナーゼC(PKC)活性化薬(phorbol 12-myristate 13-acetate(PMA))の影響

図5A、BはそれぞれACh(A)、αβ-MeATP(B)による膀胱の収縮反応に対するPMAの効果を示します(a:代表的な実験記録、b、c:解析結果のまとめ)。図5Aに示すように、AChによる収縮反応はPMAにより増強されませんでしたが、図5Bに示すように、αβ-MeATPによる収縮反応はPMAにより強力に増強されました。

図6.50 mM KClによる脱分極性収縮反応に対するU46619(プロスタノイドTP受容体刺激薬)及びプロテインキナーゼC(PKC)活性化薬(phorbol 12-myristate 13-acetate(PMA))の増強効果とPKC阻害薬(Gö 6983(Gö)、sotrastaurin(Sot))の抑制効果

図6A、Cは50 mM KClによる脱分極性収縮反応に対するU46619及びPMAの増強効果を示し(a:代表的な実験記録、b、c:解析結果のまとめ)、図6B、Dはその増強効果(B:U46619、C:PMA)に対するPKC阻害薬の効果を示します(a、b:代表的な実験記録、c、d:解析結果のまとめ)。生理緩衝液のKCl濃度を50 mMまで増加させると、脱分極が生じ、電位依存性Ca2+チャネル(VDCC)の開口による細胞内Ca2+濃度の増加を介した膀胱平滑筋の収縮反応が引き起こされます。図6A、Cに示すように、この収縮反応はU46619(図6A)及びPMA(図6C)により増強されました。図6B、6Cに示すように、U46619(図6B)及びPMA(図6D)により増強された50 mM KClによる収縮反応は、いずれもPKC阻害薬により統計的に有意に抑制されました。

以上

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東邦大学薬学部薬理学教室
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