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プレスリリース 発行No.1130 令和3年5月1日

L/N型カルシウム拮抗薬シルニジピンは食塩感受性高血圧に
生じる心臓リモデリングを改善し、抗心房細動効果をもたらす

 東邦大学薬学部薬物治療学研究室の高原章教授らの研究グループは、味の素製薬株式会社(現EAファーマ株式会社)との共同研究で、L/N型カルシウム拮抗薬シルニジピンが食塩感受性高血圧に生じる心臓リモデリング(注1)を改善し、抗心房細動効果を示すことを明らかにしました。この研究成果は、雑誌「Biological and Pharmaceutical Bulletin」にてFeatured Articleとして推薦され、2021年5月1日に掲載されました。

発表者名

高原 章 (東邦大学薬学部薬物治療学研究室 教授)
相本 恵美(東邦大学薬学部薬物治療学研究室 助教)
原田 英里(味の素製薬株式会社[現EAファーマ株式会社]、味の素株式会社)
杉野 多美(味の素製薬株式会社[現EAファーマ株式会社]、味の素株式会社)

発表のポイント

  • 本研究では、高血圧治療薬として広く用いられているカルシウム拮抗薬シルニジピンの心臓リモデリング改善及び抗心房細動作用を、食塩感受性高血圧ラットを用いて明らかにしました。
  • シルニジピンはL/N型カルシウムチャネル遮断薬であり、その心保護作用のメカニズムの一部に、N型カルシウムチャネル遮断を介した交感神経活動に対する抑制効果が寄与すると考えられました。
  • シルニジピンは心房細動を合併する高血圧患者に対するアップストリーム治療において有用な手段として期待されます。

発表概要

 心房細動(AF)は、高血圧症患者において最もよく認められる不整脈の一つです。本研究では、Dahl食塩感受性高血圧ラットの心臓リモデリングに対し、L/N型カルシウムチャネル遮断薬であるシルニジピンが、L型カルシウムチャネル遮断薬アムロジピンよりも強力に心房細動予防効果を発揮することを明らかにしました。また、シルニジピン投与群はアムロジピン投与群に比べて血漿ノルアドレナリン濃度が低く、N型カルシウムチャネルの遮断がシルニジピンの優れた心筋保護作用に寄与していると考えられました。これらの知見は、心房細動を合併した高血圧の治療を考える上で重要な情報となります。

発表内容

 過剰な食塩摂取は、心臓において心房と心室の肥大と線維化を誘発し、その結果として心房細動(AF)が発症しやすくなります。本研究では、L/N型カルシウムチャネル遮断薬であるシルニジピンが、食塩により誘発される心房および心室のリモデリングと心房細動の誘発性を抑制しうるかを検討しました。
 8%食塩を含む飼料を与えたDahl食塩感受性高血圧ラットにシルニジピン10 mg/kgを5週間経口投与した後、電気生理学的実験及び組織学的解析を実施し、その効果を同程度の降圧作用を示すL型カルシウムチャネル遮断薬であるアムロジピン3 mg/kgと比較しました。被験薬を投与しないDahl食塩感受性高血圧ラットでは8%食塩を含む飼料の摂取により血圧が上昇し、心房と心室に線維化が観察されました。シルニジピン群では心房と心室で生じた線維化がアムロジピン群より強く抑制され、シルニジピンに強力な心保護作用が認められました。シルニジピン群では、食塩摂取で7.4±3.2秒に増加した心房細動の持続時間が3.0±1.7秒に短縮しました。シルニジピン群の血漿ノルアドレナリン濃度はアムロジピン群よりも低値でした。これらの結果から、食塩過剰摂取によって誘発される心臓の線維化や心房細動の持続性に対するシルニジピンの抑制効果は、N型カルシウムチャネル遮断作用に関係すると考えられました。

発表雑誌

    雑誌名
    「Biological and Pharmaceutical Bulletin」Vol 44, No.5, (2021), 707–713

    論文タイトル
    Effects of the L/N-type Ca²⁺ Channel Blocker Cilnidipine on the Cardiac Histological Remodelling and Inducibility of Atrial Fibrillation in High-salt-fed Rats

    著者
    Eri Harada, Kazumi Sugino, Megumi Aimoto, and Akira Takahara

    DOI番号
    10.1248/bpb.b21-00024

    アブストラクトURL
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/bpb/advpub/0/advpub_b21-00024/_article

    Editor's Pick URL
    https://www.jstage.jst.go.jp/browse/bpb/_contents/journal-featured-articles/-char/en

用語解説

(注1)心臓リモデリング
心臓に対する圧負荷や容量負荷により生じる心筋の構造的・機能的な変化であり、心筋組織では線維化が進行して心肥大や心拡大が生じる。心不全や不整脈といった病態の発症に関与する。
以上

お問い合わせ先

【本発表資料のお問い合わせ先】
東邦大学薬学部 薬物治療学研究室
教授 高原 章

〒274-8510 船橋市三山2-2-1
TEL:047-472-9199 FAX:047-472-1188

【本ニュースリリースの発信元】
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