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プレスリリース 発行No.1126 令和3年3月26日

「関節リウマチ患者の生物学的製剤投与中止後の再燃を予測」
~血液中バイオマーカーの組み合わせが最も有用~

 東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野の亀田秀人教授らの研究グループは、生物学的製剤の投与で寛解を維持していた関節リウマチ患者に、その投与を中止した後に高い割合で起こる関節リウマチの再燃について、血液中の2つのバイオマーカーを組み合わせることで高い精度で予測することができることを見出しました。
 生物学的製剤の投与中止を希望した患者では、中止後2年以内に高い割合で関節リウマチの再燃が見られますが、この再燃の有無を生物学的製剤の中止時に予測することは臨床症状や関節超音波検査の所見では難しく、高額な生物学的製剤の投与を継続するか中止するかは、患者の経済的負担とも相まって問題となっていました。今回の研究により、今後関節リウマチにおける生物学的製剤の投与中止がより適切に行われ、医療経済にも良い影響を及ぼすことが期待されます。この成果は3月25日に雑誌「Scientific Reports」にて発表されました。

発表者名

亀田 秀人 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 教授)
平田 絢子 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 助教)
片桐 翔治 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 シニアレジデント)
高倉 悠人 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 レジデント)
井上 有希 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 准修練医)
武中 さや佳(東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 非常勤)
伊東 秀樹 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 非常勤)
水品 研之介(東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 大学院生)
小倉 剛久 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 講師)

発表のポイント

  • 生物学的製剤の投与で寛解を維持していた関節リウマチ患者で希望により生物学的製剤を中止したところ、2 年以内の関節リウマチ再燃が56%に見られました。
  • この再燃の有無を生物学的製剤の中止時に予測することは従来の臨床評価や画像評価では困難であったが、血液中バイオマーカーの組み合わせにより高い精度で予測できることを見出しました。
  • 生物学的製剤は高額であるため、この研究成果は医療経済にも良い影響を及ぼすことが期待されます。

発表内容

 関節リウマチは持続性・破壊性の関節炎により関節機能障害をもたらす病気で、日本人患者数は約70万人とされています。2003年以降日本でも生物学的製剤の使用が可能となり、20~30%の患者がその治療を受けています。その結果として寛解(病勢が十分に抑えられた状態)率が向上しているものの、生物学的製剤は3割の自己負担でも年間の支払いが20~40万円程度と高額であるため、投与を受ける患者は診療ガイドライン等で限定されています。これまでの研究で、生物学的製剤を中止すると1年以内に約半数の患者に関節リウマチの再燃が見られることが報告されています。そこで生物学的製剤の投与で国際的に認められている厳格な寛解基準を少なくとも3ヶ月以上(中央値20ヶ月、半年未満は2例のみ)維持していた関節リウマチ患者のうち、高額であることなどの理由により生物学的製剤の投与中止を希望した患者が本研究に登録され、2年間にわたって再燃の有無などを観察されました。生物学的製剤では腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬が72%を占めていました。2014年11月から2018年1月にかけて登録された36例の患者のうち、生物学的製剤の中止後2年以内の関節リウマチ再燃は20例(56%)と、従来の報告と同程度に見られました。この再燃の有無を生物学的製剤の中止時に予測することは臨床症状や関節超音波検査の所見などの従来からの手法では困難でしたが、血液中の2つのバイオマーカー、すなわち可溶型TNF受容体1(sTNFR1)とインターロイキン(IL)-2を組み合わせることで、中止後の寛解維持を予測できると考えられました(図のAとB)。すなわち、生物学的製剤中止時の血液中のsTNFR1濃度が低く、IL-2濃度が高ければ83%の患者が2年間にわたって中止後も寛解状態を維持できるという結果でした。sTNFR1の濃度が高い場合には、IL-2濃度によらずほとんどの患者が再燃を生じていました。以上の研究結果より、今後関節リウマチにおける生物学的製剤の投与中止が従来よりも適切に行われ、医療費の削減にもつながることが期待されます。なお、本研究の成果は2020年7月に国内特許出願済です。

発表雑誌

雑誌名
「Scientific Reports」(2021年3月25日)

論文タイトル
Prediction of disease flare by biomarkers after discontinuing biologics in patients with rheumatoid arthritis achieving stringent remission

著者
Hideto Kameda, Ayako Hirata, Takaharu Katagiri, Yuto Takakura, Yuki Inoue, Sayaka Takenaka, Hideki Ito, Kennosuke Mizushina, and Takehisa Ogura

DOI番号
10.1038/s41598-021-86335-7

論文URL
www.nature.com/articles/s41598-021-86335-7

添付資料

以上

お問合せ先

東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野
教授 亀田 秀人

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