プレスリリース 発行No.1107 令和2年12月10日
毛髪再生医療の実用化に向けた新たな臨床研究を開始
~ 広範囲の薄毛部における有効性の検証 ~
~ 広範囲の薄毛部における有効性の検証 ~
概要
これまでに、 東京医科大学皮膚科学分野の坪井良治名誉教授および原田和俊主任教授を中心とする研究チームは、東邦大学医療センター大橋病院 皮膚科 新山史朗准教授および株式会社資生堂再生医療開発室(細胞培養加工等担当)と共同で、脱毛症や薄毛に悩む方々を対象に、医師主導の臨床研究を行いました。その結果、自家毛髪培養細胞を用いた細胞治療法に安全性と改善効果を認め、男女の壮年性脱毛症の新しい治療法になりうることを示してきました。
今後臨床における治療法の確立を目指すためには、頭頂部とその周辺のより広い範囲の薄毛部に自家毛髪培養細胞を複数回投与し、見た目でわかる治療効果と安全性を示す必要があることから、この度、杏林大学医学部 皮膚科学教室 大山学教授の研究チームを加えた3施設で、新たな臨床研究を開始します。なお、広範囲の薄毛部に複数回投与する試験は初めての試みです。
今回の臨床研究により再生医療による新しい薄毛治療法の実現を目指していきます。
今後臨床における治療法の確立を目指すためには、頭頂部とその周辺のより広い範囲の薄毛部に自家毛髪培養細胞を複数回投与し、見た目でわかる治療効果と安全性を示す必要があることから、この度、杏林大学医学部 皮膚科学教室 大山学教授の研究チームを加えた3施設で、新たな臨床研究を開始します。なお、広範囲の薄毛部に複数回投与する試験は初めての試みです。
今回の臨床研究により再生医療による新しい薄毛治療法の実現を目指していきます。
臨床研究の背景
現在、脱毛症の中でも発症頻度の高い男女の壮年性脱毛症は重篤な疾患ではありませんが、外見に重大な影響を及ぼすことから、QOL(Quality of Life =生活の質)向上の観点で治療法の開発が期待されています。壮年性脱毛症の治療法として、日本国内ではいくつかの薬剤等が用いられていますが、継続的な服用が必要であることや、女性の場合は薬剤の選択肢が限られていることなどの課題があり、また、それらの効果は男女を問わず十分ではありませんでした。
2016年から2019年にかけて、東京医科大学特定認定再生医療等委員会にて承認された計画に基づき、毛球部毛根鞘(DSC)細胞加工物(以下、S-DSCTMと総称する)を用いた自家培養細胞の頭皮薄毛部への注入施術の安全性と有効性を検討する臨床研究を実施しました。 その結果、薄毛部の小さな面積に一度だけ注射した際の、有効な細胞濃度を決定し、安全性を確認しました。
2016年から2019年にかけて、東京医科大学特定認定再生医療等委員会にて承認された計画に基づき、毛球部毛根鞘(DSC)細胞加工物(以下、S-DSCTMと総称する)を用いた自家培養細胞の頭皮薄毛部への注入施術の安全性と有効性を検討する臨床研究を実施しました。 その結果、薄毛部の小さな面積に一度だけ注射した際の、有効な細胞濃度を決定し、安全性を確認しました。
本研究の概要
目的 | 男女の壮年性脱毛症に対する、培養ヒト自家毛球部毛根鞘細胞(S-DSCTM)の広範囲 及び反復注入による有効性及び安全性の検証 |
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実施医療機関 | 東京医科大学病院、東邦大学医療センター大橋病院、杏林大学医学部付属病院 |
方法 | 同意を得た被験者の後頭部から少量の皮膚組織(直径数mm)を 採取し、それを細胞加工施設(資生堂細胞培養加工センター;SPECⓇ)に輸送し、毛包DSC組織を単離、培養し、細胞加工物S-DSCTM を獲得する。男女合計40名程度の被験者に対して、頭頂部とその周辺の広範囲の脱毛部位に、S-DSCTM を注入する。一定期間後、もう一度同一部位に注入する。 |
観察機関 | 注入後1.5年/安全性フォロー2年 |
有効性評価方法 | 外観写真評価 |
研究成果の概念図

臨床研究の進捗

発表雑誌
-
雑誌名
「Journal of American Academy of Dermatology」
論文タイトル
Autologous Cell-Based Therapy for Male and Female Pattern Hair Loss using Dermal Sheath Cup Cells: A Randomized Placebo-Controlled Double-Blinded Dose Finding Clinical Study
(毛球部毛根鞘(DSC)細胞を用いた壮年性脱毛症に対する自家細胞治療:無作為化プラセボ対照二重盲検比較研究)
著者
坪井良治1* 、新山史朗2、入澤亮吉1、原田和俊1、中沢陽介3、岸本治郎3(*責任著者)
1 東京医科大学 皮膚科
2 東邦大学医療センター大橋病院 皮膚科
3 資生堂 FSイノベーションセンター 再生医療開発室
※主な競争的研究資金 なし
【過去の参考プレスリリース】
毛髪再生医療の確立へ向けた臨床研究を開始
~ 東京医科大学が、東邦大学医療センター大橋病院および株式会社資生堂と連携し、
脱毛症や薄毛に悩む患者さんのQOL向上に貢献へ ~
https://www.tokyo-med.ac.jp/news/media/docs/160627hihupress.pdf
毛髪再生医療による男女の壮年性脱毛症の新たな治療法の開発
~ 自家毛髪細胞を用いた臨床研究により安全性と改善効果を確認 ~
https://www.tokyo-med.ac.jp/news/media/docs/20200306pressrelease.pdf
以上
お問い合わせ先
東京医科大学 総務部 広報・社会連携推進課
TEL: 03-3351-6141(代表)
東邦大学医療センター大橋病院 事務部総務課
TEL: 03-3468-1251(代表)
杏林大学 広報・企画調査室
TEL: 0422-44-0611(代表)
株式会社資生堂 グローバル広報部
TEL: 03-6218-5200(代表)